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新築賃貸住宅の着工が止まらない! 10月度 月例経済報告

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内閣府は10月度の月例経済報告を発表した。全体の評価は以下の通りだ。

-景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調 が続いている。-

この表現はここ数か月変わっていない。政府は景気判断を据え置いている。他の民間指標では物価下落傾向が鮮明に出ているにも関わらず景気判断を据え置くのはどうかと思うが、少しでも経済が好調だと国民に印象付けたい政府は必死なのだろう。

さて、我々不動産投資家にとって重要なのは「住宅建設」のパートだ。こちらは前月とは異なる判断となっている。

9月度:  持ち直している。
10月度: 住宅建設は、このところ横ばいとなっている。

つまり、下方修正している。政府も住宅建設に勢いがなくなってきたことを認めているようだ。だが、その内訳が興味深い。

持家と分譲マンションについては、着工件数が大きく下落しているにも関わらず、貸家はダントツに増加している。住宅建設全体で見る限り、横ばいとの判断なのだが、貸家に限ってみれば、絶好調な感じだ。最近、空室が社会問題化し、政府も大っぴらに新築アパート建設を囃し立てられないのか、レポートには触れていないが、明らかに異常な状況だ。相続税増税が決まった2013年以降右肩上がりで増えている新築アパート建設だが、その勢いはとどまることを知らない。

こちらは受注戸数に関する住宅景況判断を示している。一般的に受注してから着工するまで1年程度かかることが多いため、この受注指標のほうが直近の景況感を正確に示していると言える。こちらについても、戸建については下落して、マイナス圏に沈んでいる一方で、賃貸については大きく増加している。このことから、現時点でも賃貸住宅の受注・販売は好調なことが分かる。

このように現在も日本国内至るところで新築アパートの建設が盛んに行われている。空室が社会問題になっているにも関わらず新築アパートの建設が進んでいるのは先進国の中で、日本だけだ。新築アパートは経済乗数が大きいと言われている。アパートを経てれば建設会社だけでなく、不動産会社、建材メーカー、住宅設備、広告会社と、色んな業界がもうかる仕組みだからだ。そのため、政府は空室が増えているからと言って、GDP押上げ効果のある新築アパート建設をやめさせるようなことはできない。その結果、空室はどんどんと増えていく。

このまま新築アパートが増え続ければ物件の供給過剰は加速し、家賃は下落するだろう。そうすると経営破たんせざるを得ない不動産投資家も増えてくると思われる。このような破綻する不動産投資家の問題が顕在化する前に、政府には対策を取ってほしいものだと思う。

 

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