[この記事は2019年5月11日に最新の情報に更新しています]
こんにちはJOJOです! 東京都内で3棟20部屋のアパートを経営しています。
アパートサブリース大手のレオパレスが建設したアパートの施工不良問題が世の中を騒がせています。
屋根裏の防火・遮音用に設置する界壁に不備があり、建築基準法違反の疑いが持たれています。
当初1,324棟のアパートに施工不良があると発表されましたが、全棟調査の結果、2019年3月末の時点では7,085棟にまで増えています。
現在もレオパレスでは過去に建設したアパート全棟の調査を継続していますが、想定以上に不備のある物件が増えている印象です。
施工不良問題はレオパレスの業績にも悪影響を及ぼしており、2019年3月期の連結決算では、686億円の最終損失に陥りました。
今回は、最新の決算内容を読み解きながら、レオパレス破綻の可能性があるのか、そして不動産投資に与えるインパクトを分かりやすく解説したいと思います。
レオパレスの事業内容
レオパレスは主に地主から賃貸アパートの建築を受注し、完成後に物件を一括で借り上げて入居者に転貸する「サブリース」の大手事業者です。
売上は5,308億円(2018年3月期)。過去に施工したアパートは約3万9000棟。現在の賃貸管理戸数は57万戸です。
レオパレスの収益の柱は2つあります。
- 賃貸事業(サブリース)
- アパート建設事業
現在では、賃貸事業(サブリース)が売上全体の82%を占めており、アパート建設事業はわずか14%しかありません。
10年ほど前までは、アパート建設事業のほうが賃貸事業よりも売上が大きかったようです。
その後思うように新規アパート建設事業が伸びず、現在は過去に建設してきたアパートから受託している賃貸事業(サブリース)で食べている企業と言えます。
レオパレスはサブリース事業でも多くの問題を抱えている企業です。
レオパレスはオーナーから10年間は賃料を保証する一括借上契約を締結していますが、過去にその契約を破ってオーナーに賃料減額や解約を迫ったとして多くのオーナーから訴訟を起こされています。
レオパレスのサブリース問題は以下の記事にまとめていますので、読んでみてください。
ただ、レオパレスのアパート建築費は他の大手アパートメーカーに比べると価格が安いというメリットがあるため、今でもレオパレスにアパート建設を依頼する地主はたくさんいます。
今回の不良施工問題
レオパレスの不良施工問題は、テレビ東京のガイアの夜明け「マネーの魔力2」のスクープによって発覚しました。
岐阜県にあるレオパレスオーナーのアパートで屋根裏部屋を調べてみると、通常屋根裏にある壁(界壁)がないことが判明しました。
火災の延焼防止や遮音目的のため建築基準法で設置を義務化されている屋根裏で部屋と部屋の間を仕切る壁のこと。
界壁がないと、ある部屋で火事になった場合、火の手が屋根裏を経由して建物全体に簡単に行き渡ります。
この界壁はレオパレスが建築確認申請した際の設計図面には記載されています。
それが実際のアパートでは設置されていませんでした。
つまり、設計図面通りにアパートが施工されていないということです。
一部のオーナーからは界壁の設置がない、もしくは不備があることを指摘されていましたが、レオパレス側では適切な補修を行ってきませんでした。
それが、テレビ東京が施工不良があることをガイアの夜明けで公開したところ多くの反響があり、結果としてレオパレス側は正式に施工不良を認め、補修工事を行うことを発表しました。
次々と発覚する施工不備のあるアパート
当初レオパレス側の発表としては、『ゴールドネイル』と呼ばれる1994年以降に販売が開始された旧式の建物タイプでのみ施工不良があるとされていました。
しかし、続いて公開されたテレビ東京の「マネーの魔力3」では比較的新しいタイプの建物でも施工不良があることが明らかになりました。
千葉県流山市のオーナーは2008年にレオパレスで4棟のアパートを建設しました。
アパートが竣工後、手すりの立て付けが悪いなどの建物設備のトラブルが相次いだため、レオパレス側に補修を依頼したそうです。
しかし、建築から10年たっても一度も補修されないままでした。
その後、レオパレスの施工不良のニュースを見て心配になったオーナーはレオパレス側に建物の調査依頼をお願いしました。
しかし、レオパレス側からは『新しい物件なので調査の必要なし』との回答が来ました。
それでも納得できないオーナーは再三レオパレスにお願いして、界壁調査を実施してもらいます。
その後、レオパレスの現場担当者から『施工不良がある』との報告書が出てきます。
しかし、社内判定の結果、レオパレス側からは『問題なし』と最終回答がありました。
つまり、判定がくつがえったのです。
その最終回答に不満を覚えたオーナーは、もう一度自ら調査を行うことを決意します。
レオパレスとは関係ない工務店に依頼し、実際に天井をくり抜いて屋根裏をチェックすることにしました。
調査には流山市役所の職員にも立ち会ってもらいました。
すると、界壁はあったものの、界壁と屋根の間に大きなすき間があることが判明しました。
界壁は火事の延焼を防ぐ目的で作られるため、すき間があってはまったく意味がありません。
すき間から空気が通るので、簡単に火が隣の部屋の丈夫に燃え広がるからです。
この調査結果を受けて流山市役所からはこの状態は建築基準法に違反しているため、レオパレスに対して補修するように正式な要請が行われました。
他の箇所でも施工不良が発覚
調査が進むにつれ、界壁以外にも致命的な施工不良があることが判明しました。
新たに判明した不備
- 防火性能の劣る素材が外壁に使われていた
- 天井板が本来2枚ないといけないのに1枚しかなかった
防火性能の劣る素材が外壁に使われていた
建物を火災から守るために、共同住宅の外壁の内側素材には耐火性能が高いグラスウールを使うことが建築基準法で定められています。
ガラス繊維でできた、綿状の素材。建築物の壁・天井・床・屋根の断熱材及び吸音材として使われている。ガラス繊維でできているため、不燃性であり、防火性能が高い。
それが、レオパレスの一部の建物では耐火性能で劣る発泡ウレタンが使われていることが判明しました。
グラスウールよりも発泡ウレタンのほうが素材自体も安価ですし、何より施工が簡単です。
おそらくコストダウンを図るために発泡ウレタンを使ったのでしょう。
天井板が1枚しかなかった
共同住宅の天井には耐火性の板(石膏ボード)が2枚使われることが、建築基準法で定められています。
理由としては、室内で起きた火災が上の階の部屋に燃え広がるのを防ぐためです。
一方で、天井板には遮音性を高めるという機能もあります。
例えば1階の部屋の天井は2階の部屋の床に相当します。
2階の部屋の足音を下の部屋に伝えないために、天井板をできる限り厚くする必要があります。
そのため、天井板を2枚設置するということは、床上からの生活音を遮音するという効果があるのです。
ところが、レオパレスの一部の建物では天井板が1枚しか使われていなかったことが判明しました。
これも建築費用のコストダウンが目的だと思われます。
これで、合計3つの施工不良があることが判明しました。
- 界壁がない、もしくは隙間がある
- 防火性能の劣る素材が外壁に使われていた
- 天井板が本来2枚ないといけないのに1枚しかなかった
屋根裏、天井、外壁全てに施工不良がある場合、ほとんど建物全てが補修対象になります。
その金額は膨大な費用になります。
実際にガイアの夜明け「マネーの魔力1」では施工不良に気づいたオーナーがリフォーム会社に補修のための見積もりを取っています。
リフォーム会社から提示されたのは、金額は4,000万円以上。
もし補修工事を行うとすれば入居者の転居費用も必要になります。
もはや建て替えをするのと変わらない金額になりますね。
補修対象のアパートは今後増える可能性が高い
レオパレスが過去に施工したアパートは全国に約4万棟あります。
当初レオパレスが不備があると認めたのは1,324棟。
2019年3月末時点では、7,085棟にまで増えています。
全体の4万棟のうち2万棟の調査が終わり、7,085棟に不備があることが判明しました。
不備率は35%にもなります。
調査対象はまだ2万棟残っています。
同様の不備率だとすると、更に7,000棟の施工不良が増えると予想できます。
そうなれば、最終的には14,000棟もの大量のアパートに施工不良があることになります。
一棟あたり10部屋あると仮定すると14万人の入居者に影響があることになります。
この14万人が退去や転居するということを考えると、非常に大きなインパクトですね。
そうすると更に補修費用や転居費用は増えることになりそうです。
レオパレス側の補修費用見込みは甘い
レオパレスは不備が見つかった全ての建物に対して補修を行い、入居者には転居費用を負担すると公表しています。
そして、補修の費用として、累計430億円の特別損失を計上すると発表しました。
しかし、2019年3月末時点では、特別損失は547億円にまで膨れ上がっています。
当初不備が見つかったアパートは1,324棟で、補修費用が430億円を見込まれていました。
一棟あたりの補修費用は約3250万円となります。
現時点で不備があるアパートは7,085棟に増加し、補修費用も547億円に増えました。
ところが一棟あたりの補修費用は772万円と逆に減っています。
先ほどガイアの夜明けの事例で見たとおり、補修費用に4,000万円以上かかるケースも多いと思われます。
これに入居者の転居費用(仲介手数料、引っ越し費用等)を加えると前回の一棟あたり補修費用約3250万円でも足りません。
それなのに、2019年3月時点では一棟あたりの補修費用はたったの約772万円しか計上されていません。
これだと、全然足りませんね。
ひょっとしたら最終的な補修費用は大きく膨れ上がるかもしれません。
レオパレスは破綻するのか?
次にレオパレスの決算書を読み解きながら、施工不良問題がレオパレスの業績に与える影響について説明します。
これだけ大きな赤字に陥るにも関わらず、レオパレスは経営の安全性には問題ないとホームページで主張しています。
2018年12月末日時点での現金預金(連結)は892億円、自己資本(連結)は1,069億円
(自己資本比率35.2%)と十分な水準にある
しかし、レオパレスの財務諸表をよく読むと、安全性に問題があることがわかります。
短期的な支払能力は十分ではない
レオパレスの流動資産(現金や販売用アパートの完成在庫)は現在1,107億円あります。
前期(18年3月)に比べると190億円も減少しています。
一方で流動負債(一年以内に返済しなければいけない短期借入金)は1,417億円あります。
こちらは前期に比べると415億円も増えています。
一般的には流動負債よりも流動資産が多い状態が健全であると言われています。
流動資産 > 流動負債
この状態だったら、在庫を売り切り、手持ち現金と合わせれば、短期間に支払い期限のある借入金を返済できます。
しかし、レオパレスは逆の状態です。
流動資産(1,107億円) < 流動負債(1,417億円)
つまり、完成在庫のアパートが全部売れたとしても、手持ち現金と合わせて借入金を返せない状態であると言えます。
これでは短期的な支払能力が十分とはいえないでしょう。
しかも、これは手持ちの在庫が全て売却できた最良のケースです。
今回の施工不良を受けてアパート建築を解約するオーナーも出てくると思われます。
その場合、在庫を販売して現金化することができません。
1年以内に返さないと行けない借金が1,417億円もあるのに、手持ち現金が1,107億円しかないのは、かなり危険な状態ですね。
アパート販売が減少し、在庫が増えている
次に販売用不動産(販売用のアパート在庫)の金額に注目してみます。
2018年3月末 | 35億円 |
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2019年3月末 | 77億円 |
1年前の2018年3月末に比べると販売用のアパート在庫が実に2.2倍に膨らんでいることがわかります。
これは、アパート販売が減少し在庫が増えていると考えられます。
このままアパートの在庫が増え続けると、在庫が不良資産化します。
建物を新築として販売できるのは、竣工から1年以内だけです。
それ以上経ってしまうと新築ではなく中古として販売せざるを得ません。
つまり相場よりも安い値段でしか売ることができなくなるわけです。
また、今回の施工不良でレオパレスの企業イメージが傷つけば、値下げしてもアパートが販売できない可能性もあります。
不良在庫は資金繰りを圧迫しますので、経営の安定性という観点ではリスクがある状態だといえます。
新規アパート受注減
当初は2019年3月期のアパート販売(開発)売上高は620億円を予想されていました。
実際に決算発表の数字では、売上高は589億円でした。約30億円のマイナスですね。
アパート開発事業売上高
2018年3月期 | 765億円 |
---|---|
2019年3月期 | 589億円 |
前期と比べると23%減少しています。
今回の施工不良が公になることにより、レオパレスでのアパート建築を敬遠する地主・投資家が増えたことを表しています。
まあ、これだけ施工不良が顕在化したで減少するのは当然ですね。
ただ、個人的には意外と減少幅が少ないなという印象です。
そこで、より最近のアパート開発事業の状況を調べるために、新規受注数の推移も見てみました。
アパート開発事業 新規受注数
2017年3月期 | 928億円 |
---|---|
2018年3月期 | 876億円 |
2019年3月期 | 733億円 |
前年比16%減です。
ただ、新規受注数は先ほどの売上高よりも減少幅が少ないです。
ということは、これだけ不良施工問題が騒がれているにも関わらずレオパレスの新築アパートを新規で契約しているオーナーがまだかなりいるということです。
これは、正直意外でした。
短期的には新規受注はゼロ近くまで落ち込むからかなと予想していたからです。
これはレオパレスのアパート事業には一定の競争力があるからだと思われます。
レオパレスは大東建託や大和ハウスのような他のアパート会社大手とは違い、単身者用アパートに集中しています。
他の大手に比べると建築コストも低いため、トータルでの利回りは高くなります。
そのため、これだけ問題が噴出しても、一定の投資家からは支持されているのだと思います。
賃貸事業の収益悪化
今回の施工不良問題で、転居を要請される入居者は14,000人になるといわれています。
もちろんレオパレス側は他のレオパレス物件に転居することを提案するでしょう。
ただし、転居先のレオパレス物件で施工不良がないとも言えませんし、第一自分の住みたいエリアにレオパレスの空き物件があるとも限りません。
そのため、レオパレスを退去し、他の賃貸物件に転居する方がかなりの数存在すると思われます。
この退去者の増加は、レオパレスの経営を圧迫します。
施工不良問題が明らかになってから、入居率は低下傾向にあります。
不良施工問題が発覚した2018年5月以降、入居率は徐々に下がっています。
4月には82%まで下がってしまいました。
賃貸事業の損益分岐点が入居率80%と言われていますから、かなり厳しい数字ですね。
入居者の退去がまだ増えることを考えると、入居率はますます低下するでしょう。
レオパレスの賃貸事業はサブリース契約です。
つまり、入居率がどんなに悪化しようが、オーナーに対しては約束したサブリース金額を支払う義務があります。
現在、賃貸事業の営業利益率はわずか3.8%です。
つまり、入居率が3.8%以上悪化すると、賃貸事業が赤字になるリスクがあります。
賃貸事業はレオパレスの売上全体の82%を占める収益の柱ですから、ここが赤字になると会社全体で更に赤字が増える可能性が高くなります。
そこで賃貸事業の売上高を確認してみました。
賃貸事業売上高/管理戸数
売上高 | 管理戸数 | |
2018年3月期 | 4,355億円 | 570,672戸 |
2019年3月期 | 4,263億円 | 574,798戸 |
売上高は前期に比べると2%減少していますが、ほとんど影響を受けていません。
管理戸数にいたっては、前期よりも4,000件ほど増えています。
このデータからは、賃貸事業の売上は減少したが、新規アパート竣工による管理戸数が増えたため、そこまで大きな落ち込みにはなっていないことが分かります。
確かに入居率は低下し続けていますが、すぐには賃貸事業の売上は大きく減少しないということですね。
これは不動産賃貸業全般に言える傾向です。
入居率が少しくらい悪化しても、すぐに売上が急減するわけではありません。
やはり不動産賃貸業は安定していますね。
株主、オーナー、入居者からの損害賠償請求
今回の施工不良は様々なステークホルダー(関係者)に悪影響を与えます。
レオパレスは東証一部に上場している株式会社です。
今回の発表を受けた直後、レオパレスの株価はストップ安をつけました。
レオパレスの株主は大きな損失です。
更にレオパレスは不良施工の事実を知りながら過去に公募増資を行った疑惑が持たれています。
レオパレスは2013年11月に公募増資を行い株式市場から320億円もの大金を資金調達しました。
しかしながら、テレビ東京の調べによると公募増資の前年2012年12月にはレオパレス側では不良施工の事実を認識していたようです。
2012年12月にレオパレス元オーナーがサブリースを強制解約したとしてレオパレスに対して訴訟を起こしています。
その裁判の際に、『界壁がない』ことが明らかになっています。
これが事実だとすると、不良施工という重大な問題を隠したまま市場から資金調達したことになります。
増資を受けた人は割高な株価を掴んでいることになりますから、株主から損害賠償請求が来る可能性があります。
また、現在レオパレスオーナーにとっても、不良施工が見つかるということは自分の資産(アパート)の価値が毀損(きそん)することを意味します。
当然、損害賠償請求をする可能性もあるでしょう。
最後に入居者も大変な迷惑を被っています。
実はレオパレスには学割プランという制度があって、学生は4年分の家賃をレオパレスに前払いすることによって、10%の賃料を減額される仕組みがあります。
例えば、4年間で400万円の家賃であれば、10%引きの360万円になるという制度です。
そして、学生はこの360万円を前払いしています。
今回、転居を要請された入居者の中には学割プランに加入している人もたくさんいるでしょう。
その人達がレオパレスを退去することを選択した場合に、前払い家賃の返還を求める可能性があります。
もしレオパレス側が前払い家賃の返還を拒否すれば、損害賠償請求される可能性もあります。
このように、レオパレスは『株主、オーナー、入居者』の3者から損害賠償請求される可能性があります。
ただし、決算書を見る限り、損害賠償請求に対する引当金は計上していないようですね(つまり、損害を見込んでいない)。
今後はこの見込んでいない損害賠償請求がどのくらいの規模で発生するかが経営上のリスクだと思います。
ただ、僕は今回一番の損害を被っているオーナーが損害賠償請求する可能性は少ないと見ています。
なぜならば、オーナーはサブリース事業をレオパレスに任せているため、レオパレスに倒産されては困るわけです。
家具・家電一式を揃えて、製造業や建設業の借り上げ社宅にしてもらうというレオパレスの賃貸モデルは、意外と真似をするのが困難です。
家具家電を揃えても、大手企業から借り上げ社宅を受注するのは、レオパレス側が大手企業と強固なパイプを築き上げているからです。
レオパレスが破綻してしまえば、個人オーナーが同じように直接大手企業から借り上げ社宅の契約を取ることは非常に難しいです。
そのため、オーナーはレオパレスの経営状況をこれ以上悪化させるような損害賠償請求には踏み切らないのではないかと思っています。
そう考えると、損害賠償請求リスクはそんなに大きくはないのかもしれません。
経営状況は予想してたほど悪くない
手持ち現金よりも短期借入金の額が多いことと、アパートの完成在庫が増えているため、レオパレスの資金繰りは徐々に厳しくなっています。
しかし、アパートの新規受注がそこまで落ち込んでいない点や、賃貸事業の安定した売上を見る限りすぐにレオパレスが破綻することはなさそうです。
これだけ悪いニュースが出ても入居者、オーナーともに急に離れていないところを見ると、意外とレオパレス支持者は多いのかもしれません。
確かに施工不良を抱える既存アパートの数は増え続けていますが、それは調査が進展していることも意味しています。
レオパレス側がこのように真摯に調査を継続し、施工不良への対策を行っていくのであればひょっとすると復活できるかもしれません。
このことを示唆するように、2019年3月期の決算発表を行った5月10日にはレオパレスの株価は大きく上昇しました(前日比6円(7.7%)上昇して222円で取引を終えています)。
予想していたよりはレオパレスの決算内容は良かったと感じた投資家が多かったものと思われます。
不動産投資業界に与えるインパクトは?
不動産業界にとっては、今回のレオパレス問題は姉歯事件に次ぐ大きな問題といわれています。
特に、不動産投資業界にとってはかなり大きなインパクトがあります。
レオパレス自体は今回の不良施工問題を乗り越えて存続するかもしれませんが、それでも不動産投資業界にとって逆風であることは確かです。
僕が考える影響は次の3つです。
- 新築アパートに対する金融機関の融資厳格化
- 建築基準の厳格化によって、新築コスト上昇
- 収益物件の売却が増えることで、中古不動産価格が下落
新築アパートに対する金融機関の融資厳格化
2018年のスルガ不正融資問題以降、金融機関の不動産投資に対する融資は厳しくなって来ました。
それが、今回のレオパレス問題を契機に一層厳しくなると予想されます。
今後、金融機関における新築アパートの融資審査では、施工を請け負う建築会社が適切に施工できる会社かどうか厳しくチェックすることになるでしょう。
レオパレスのような大手企業でも施工不良が存在するわけですから、中小の建築会社へのチェックの目は一層厳しくなると思います。
あまり実績の少ない建築会社に新築アパートを発注する場合は、融資が厳しくなるかもしれません。
建築基準の厳格化によって、新築コスト上昇
2005年の姉歯事件の後、建築基準法が改正され、建築確認のプロセスが厳格化されました。
今回の問題で、現行の建物検査のプロセスには抜け穴があることが判明しました。
通常建物を新築する際には、国交省が認定する指定確認検査機関にて、建築基準法に沿って着工前の建築確認、建物竣工後の完了検査が行われます。
レオパレスの建物には天井裏に点検口がないものも多く、完了検査の際に十分な確認ができませんでした。
その結果として、今回の不良施工が見逃された側面があると思われます。
そのため、今後は完了検査の際に点検口からの目視チェックが必須化される可能性があります。
このように建築基準法が厳格化されることは利用者の観点からすれば良いことですが、その分建築コストが上昇します。
不動産投資家にとっては収益性が落ちることを意味します。
収益物件の売却が増えることで、中古不動産価格が下落
現在のレオパレス物件を所有しているオーナーの中には、今回の不良施工を受けて物件を売りに出す人も増えるでしょう。
ただ、既に不良施工の問題が日本中で知れ渡っているため、レオパレスが建築したアパートは相場よりも安い値段でしか買い手が見つからないと思われます。
大量のレオパレス中古物件が相場よりも安い価格で売りに出されると、それに引きずられて他の物件の売却価格も下落します。
そのため、中古の収益アパートの価格は下落するものと思われます。
今後、収益不動産の価格は下落する可能性が高い
以上の3点を踏まえて、今後、収益不動産の価格が下落する可能性は高いと思います。
今回のレオパレス問題が、リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンのように大きな問題にならないことを祈ります。
物件の売却を考えている人は、早めに動いたほうが良い
今後、残念ながら不動産価格、特に収益アパートの価格は下落していく可能性が高いと思います。
そのため、物件の売却を考えている人は、価格が大きく下落する前に売却に向けて動いたほうが良いと思います。
不動産を高く売却するならば、大手不動産会社6社が参加しているすまいValueに売却査定依頼することをオススメします。
このすまいValueは、日本の大手不動産会社6社が共同で運営している不動産売却ポータルサイトです。
参加している不動産会社
- 三井のリハウス(三井不動産リアルティ)
- 住友不動産販売
- 三菱地所ハウスネット
- 野村の仲介(野村不動産)
- 東急リバブル
- 小田急不動産
売却するなら、大手不動産会社に依頼したほうが有利です。
その理由は買い手の心理を考えるとわかります。
初心者の方が不動産を購入しようとしたら、まずは安心の大手不動産会社に行きますよね。
そして、不動産を一番高値で買ってくれるのは、このような初心者の方となります。
その結果として大手不動産会社に売却依頼したほうが高値で売れるのです。
また、大手不動産会社であれば、豊富な売却実績があるので、最新の顧客動向、金融機関の情勢を踏まえた売却価格を正確に算出することが可能です。
『自分の物件がいくらで売却することができるのか?』を把握しておくことは投資家にとって大切です。いざとなったら、すぐに売却に動けますからね。
もし少しでも売却したいと考えているのであれば、とりあえず価格査定だけでもしておくことをオススメします。
すまいValueならたったの60秒で一括査定ができるので、とても便利です。
カンタン一括査定依頼する>>すまいValue
また、投資用不動産の売却で成功するコツについては、次の記事にも詳しく解説しています。どうぞご覧ください。
まとめ
最後に、今までのポイントをまとめておきます。
- レオパレスの不良施工問題は始まったばかり。全棟調査の結果次第では、被害が拡大する可能性がある
- 補修費用の拡大はレオパレスの経営状況を更に悪化させる可能性があるが、賃貸事業は安定しているため現時点ではすぐに破綻することはなさそう。
- 不良施工問題を受けて、不動産投資向け融資は一層厳しくなる。
- 収益物件の売却が増えるため、収益不動産の価格は下落する
- 売却を検討している人は、不動産価格が下落する前に売却を急ぐ
残念ながら、レオパレス問題は不動産投資業界にとって大きなマイナス影響を及ぼします。
ただ、どんな状況になっても不動産投資で勝ち残る方法はあると信じています。
今回の問題をしっかり認識し、そこから大きく学ぶことで、今後の成長につなげていきたいと思います。
一緒に頑張りましょう!
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