大東建託(株)が27日、2017年3月期第2四半期決算を発表した。
一言でいうと、受注高が2ケタ増。営利21%増と絶好調だ。連結売上高7,388億7,100万円(前年同期比6.0%増)、営業利益719億5,000万円(同21.8%増)をマークしている。営業利益率が実に10%弱の水準だ。日立等の日本を代表とする電機メーカー各社が営業利益率目標を5%を設定していることから、この10%という大東建託の営業利益がとても高い水準だということが理解できる。中間決算としては4期連続して売上・利益とも過去最高を更新した。
営業利益が増加した理由としては、新築アパートブームの恩恵を受け、販売価格を値上げできたことだ。新築大家さんの皆さんはそれだけ高く建築費を支払っていることになる。また、当初、豊洲新市場や東京オリンピックの工事増加により上昇を見込んでいた労務費が想定よりも下がってきたことにある。そのため、売り上げは増えるが、原価が下がることによって、利益が増加した。大東建託で新築アパートを建てる大家の皆さまにはぜひこの事実を知っておいてほしい。大東建託は儲かっているので、きっと値下げ交渉の余地はあるはずだ。見積もり金額にはたっぷりと利益が載っているのだから。
次に、今後の業績予想に役に立つ受注戸数を見てみたい。受注戸数は3万1,406戸(同11.1%増)、受注高は3,226億5,700万円(同10.5%増)。受注残高は8,904億3,100万円(同10.9%)まで積み上がっている。つまり、直近の受注は一層勢いを増しているということだ。大東建託は一切の販売活動をやめても残っている受注案件だけで、9,000億円弱の売上を上げることができるということになる。この流れを見る限り、新築アパートの建設ラッシュはとどまるどころか、ますます勢いづいているようだ。
また、大東建託は30年一括借り上げのサブリースを提供している。気になる入居率だが、家賃ベース入居率は96.3%(同0.3ポイント上昇)となった。入居者の転勤等のやむを得ない退去を鑑みると、入居率96.3%という数字はほぼ満室経営を指す。大東建託が首都圏だけでなく、全国展開していることを考えると、この入居率は脅威だ。それだけ、客付け能力も高いということだろう。大東建託の受注を支えているのは、実はこの高い入居率かもしれない。これでは、築古のアパートを購入した大家が地元の普通の不動産会社とタッグを組んでも、大東建託には敵わない可能性が高い。
最近、僕の物件も入居付けが厳しくなってきた印象がある。理由は周りに新築アパートが乱立し、入居希望者をダムのように吸い込んでいるからだ。僕たち既存の大家もスキルアップしていかないと、普通にやっていては大東建託のような新築アパートビルダーに打ちのめされてしまうだろう。
現に、大東建託の社長は、「一部報道で空室率が非常に高まっていることが叫ばれている。ただ、賃貸住宅として貸し出すことを前提とし、プロの管理会社が関与して一定水準のメンテナンスを施しているものに関しては、空室率は低い」と自社物件に関して自信満々のコメントを出している。
大東建託の決算を見る限り、新築アパートラッシュは当面継続するだろう。それだけ、僕たち既存の大家は厳しい戦いを強いられることになる。物件の規模を増やすのも大事だが、今こそアパート運営能力強化を図る時期だと思う。
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