今年に入ってからずーっとマンションの販売が苦戦しています。
(株)不動産経済研究所は18日、2017年4月の首都圏マンション市場動向を発表しました。マンションの月間契約率は66.3%(同0.1ポイントダウン)と、4ヵ月連続の60%台となりました。好不調の目安が70%で、少し前までは契約率が80%を超える月も珍しくなかったのと比べると、だいぶ販売は苦戦しているようですね。
この販売不振の原因は高い価格です。日銀の金融緩和以降、首都圏を中心とした都市部の土地の値段は一貫して上昇しています。
それにくわえて、東京オリンピックのための再開発を中心に建築需要も高まり、資材・人件費ともに上昇しています。
その結果として、現在マンションの価格はバブル期を超えてしまっています。
2017年4月も1戸当たりの平均価格は5,918万円(同2.9%上昇)、1平方メートル当たりの平均単価は85万6,000円(同3.6%上昇)といずれも上昇しています。
東京に至っては、新築マンションの販売価格が8,000万円を超えることも珍しくないです。これってもはやサラリーマンの買える金額じゃないですよね。これから家を購入しようと考えている人には頭の痛い問題ですね。
さて、マンションが不調の一方で、ひときわ好調なものがあります。
それは、戸建の販売です。
先日、オープンハウスが2017年9月期第2四半期決算を発表しました。連結売上高は1,483億6,800万円(前年同期比26.6%増)、営業利益182億3,700万円(同20.3%増)と目覚ましい成長ぶりです。
営業利益率に直すと、12%超です。日本を代表とする電機メーカーの営業利益率の目標が5%であることを考えると驚異的な利益率ですね。
そんなオープンハウスの成長を支えているのが戸建事業。
オープンハウスの戸建事業は、マンションに対する価格優位性を武器に一戸建て分譲が大幅に伸長しています。
土地の値上がりという意味ではマンションも一戸建ても同じく影響を受けますが、実はマンションのほうが高値になりやすいです。
理由は、マンションは駅前の一等地に立地することが多く、用途地域で言うと商業地域にも建設されることが珍しくありません。この駅前立地はマンションの他に、商業ビルやオフィス、ホテルにも最適なため、土地の獲得競争が激しくなる傾向にあります。
そのため、駅近の土地のほうが昨今の値上がり率が高いのです。それだけマンションの価格に影響を与えます。
また、建設費についてもマンションのようが戸建よりも上がっています。理由はマンションの基本構造は鉄筋コンクリート(RC)ですが、住宅は基本的に木造です。一方で、ビル、ホテル等の基本構造もマンションと同じRCがほとんどです。
現在、東京オリンピックを目指して、至る所でホテルの開業ラッシュが続いています。また、景気回復に合わせてオフィス需要も盛り上がり、同じく色んな場所でオフィス建築が進められています。
これは、鉄筋コンクリート職人の奪い合いを意味しています。鉄筋コンクリートの建物を作る職人さんは木造の大工さんとは大きくスキルが異なります。鉄筋を組む鉄筋工や、コンクリートを流し込む型枠を組み立てる型枠工が主な職人さんになります。
現在、鉄筋コンクリート建築物の需要が圧倒的に多いため、特に首都圏では鉄筋コンクリート建築に必要な職人さんの需要が向上しています。つまり、人件費も上がるということですね。
そのため、建築費に関しても、戸建のほうがマンションよりも価格優位性があります。
よって、最近ではマンションよりも戸建の価格のほうが安いというような逆転現象が起きています。
一昔前までは、都内で戸建を買ったと聞くとお金持ちのイメージがありましたが、現在は逆ですね。武蔵小杉や品川のような主要ターミナル駅の近くにマンションを買える人のほうがよほどお金持ちです。
そんなこんなで、現在は、マンションよりも戸建のほうが優位性があり、実際に売れています。
これから、自宅を購入しようと考えている人の参考になれば幸いです!
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