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株高の影で進む不動産バブル崩壊の足音

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最近日経平均を中止とした株式市場の好調が続いています。理由は、5月7日に控えているフランス大統領選挙の決選投票において、EUからの離脱を唱えるルペン候補の劣勢が伝えられたからです。

それまでズルズルとリスクオフムードが漂っていた株式市場でしたが、これをきっかけに力強い上昇が続いています。日経平均も19,000円台を回復しています。

ただ、不動産関連の企業やJ-REITに限って言うと事情が異なるようです。

不動産関連株の値下がり

まず、大手不動産ディベロッパーの株を見ていきます。

三井不動産は2017年3月期連結業績は過去最高益を見込んでおり、業績は絶好調です。僕の投資エリアである武蔵小山でも再開発の筆頭ディベロッパーとして駅1分のタワーマンションの主要売り主にもなっており、これから続々と優良マンションやオフィス計画があります。

ただ、足元の株価は減少傾向です。今年始めは2,800円をつけていた株価も、現在は2,400円前後。

丸の内の覇者である三菱地所も順調な業績ですが、同様に株価は伸び悩んでいます。その他の大手である、住友不動産、東急不動産、野村不動産ともに調子がよくありませ。

次にJ-REITを見てみます。

REIT値下がり傾向鮮明

いつもの日経平均と東証REIT指数の上昇率の差を示したグラフです。

赤字:日経平均
青字:東証REIT指数

これを見ると、ここ最近の日経平均の急上昇と対象的に、東証REIT指数が緩やかに減少してきていることが明確にわかると思います。

つまり、投資家は不動産会社はREITから資金を引き上げ始めているということです。これは何を指しているのでしょうか。

不動産のバブル崩壊を予想し始めた投資家達

大家仲間の多くと共感しているのが、完全に日本の不動産状況はバブルだということです。そして、最近になっていよいよバブルが崩壊しそうな兆しが色々と出てきています。新築マンションの契約率が下がり続けていたり、販売件数が昨年比減少したりといった事実です。

ただ、中には好調な指標もあります。例えばオフィスの空室率については、過去最低を更新し続けています。三鬼商事が公表した東京都心5区のオフィス空室率は、3月末時点で前月比0.10ポイント低下の3.60%と2カ月連続で改善しました。これを見る限りまだまだ不動産のニーズは底堅く、価格も高値が続きそうな気がします。

オフィス空室率低下のカラクリ

ただ、オフィス空室率が下がっているのは、あまり好ましくない理由があります。みなさんもオフィスビル供給過剰の2020年問題という話を聞いたことがあるかもしれません。現在都心では再開発ラッシュが続き、様々なビルが2018年から2020年の間に竣工を予定しています。

さて、都心にはそんなに新しいビルやマンションを建てる土地があったのでしょうか? 実は将来竣工を予定しているビルやマンションは、既存の古い建物を取壊してから立てているのです。東京に空き地はほとんど無いので当たり前ですね。

再開発のために新しいビルを建てる場合、もちろん入居していたテナントは追い出されます。そうしたテナントは仕方ないので、他のオフィスビルに移るしかありません。再開発のために壊されるビルのテナントが、空いているビルに移っただけ。

実際のオフィス需要自体は伸びていない、空室率こそ低いままですが、賃料は上昇していません。

ニッセイ基礎研究所と三幸エステートが公表している成約賃料によると、東京都心部の大型ビルで、2015年4─6月期をピークに減少に転じています。

再開発できる見込みの優良築古ビルは既に解体が進んでいるので、全体としてビルのスクラップは徐々に減っていくでしょう。

その一方で、新築オフィスビルやマンションが続々と竣工を迎えます。すると、他の既存ビルに入居していたテナントが今度は新築ビルにどんどんと移転するため、既存ビルの空室率が上昇します。

その結果、再開発バブルが崩壊することになるでしょう。

日銀が長期金利上昇へと方向転換へ

そして、不動産投資にとっては命綱とも言える金利の上昇が現実味を帯びてきました。

御存知の通りアメリカではトランプ大統領が就任してからFRBが3回も利上げをしています。その結果、ドルの金利が上昇し続けています。たとえば米ドルの外貨預金の金利は以前は日本とほとんど変わらない0.1%程度の水準でしたが、現在は1.2%の水準まで急上昇しています。

こうしてドル高が進行した結果、アメリカは自国の製造業を守るためにドル高阻止に動いています。つまり、製造業が強い日本やドイツを含むEUに対して利上げの圧力をかけてきているのです。現に、トランプ大統領は日本を通貨操作国に認定しています。

そのため、徐々に日銀も長期金利を挙げていく方向に動き始めていると言われています。

金利が上昇すれば、借金でレバレッジを利かせて巨額の物件を購入する不動産投資ニーズは大きく減少します。そして、不動産価格は下落します。

既に地銀を中心として、日本の金融機関は不動産投資向けに巨額の融資を実施しています。日銀が2月9日に発表した貸出先別貸出金によれば、国内金融機関による不動産向け融資は昨年12月末時点で前年比約7%増の70兆3592億円と過去最高を記録しています。

これだけ膨れ上がった不動産融資で金利が引き上げられたらどうなるでしょうか? フルローンで次々と物件を購入するのが当たり前になった投資家が支払いができなくなり、破綻する可能性が高くなると思います。

バブル崩壊への道のり

上記で見てきたように新築が多く竣工し、賃貸ニーズは減少していきます。そして、追い打ちをかけるように金利上昇観測が高まっています。つまり、不動産投資を取り巻く環境は確実に悪化しています。

今は、市況が悪化したとしても、生き延びることのできるように自分自身の経営体力の温存に努める時期だと思います。収益性の低い物件は売却し、しっかりと利益のできる体質に強化していきたいと思います。

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