一棟モノの不動産投資には、アパートとマンションの2通りがあります。
アパートは木造や軽量鉄骨造。マンションはRC(鉄筋コンクリート)や鉄骨造となります。
『アパートとマンションどっちが儲かるの?』
どうせ投資するなら儲かる方にしたいですよね(*^-^)
結論から先にいうと、アパート・マンションはどちらも儲けることができます。
ただ、それぞれメリット・デメリットが異なるため、それらを正確に理解した上で、自分にあった投資手法を選択することが大切です。
今回は、アパートと、マンションのメリット・デメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
- アパート投資のメリット・デメリット
- マンション投資のメリット・デメリット
アパートの概要
壁・柱・床・梁・屋根など主要構造部に木材や軽量鉄骨を使った集合住宅のことを指します。
木材や軽量鉄骨の柱はRCや重量鉄骨と比べると耐力性能が高くないため2階もしくは3階建ての建物となります。
大東建託や大和ハウスといった大手アパートメーカーが郊外に建てている集合住宅はほとんどアパートに分類されます。
建物の大きさはRCや重量鉄骨造のマンションに比べると小さくなります。
そのため、投資総額も比較的少なくなります。
例えば僕が所有している都内の中古アパートの価格は次の通りです。
所在地 | 部屋数 | 築年数 | 購入価格 |
東京都豊島区 | 1K ✕ 6部屋 | 10年 | 6,000万円 |
東京都品川区 | 1K ✕ 10部屋 | 15年 | 1億円 |
東京都品川区 | 1LDK ✕ 4部屋 | 3年 | 7,000万円 |
地方だと2-3,000万円で購入できるアパートも多いです。
規模が小さいので比較的初心者が購入しやすいと思います。
次にそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
アパートのメリット
アパートには次のメリットがあります。
- 建築費が安い
- 利回りが高い
- 年度ごとの減価償却費が大きい
- 税金が安い
建築費が安い
アパートのメリットの一つとして建築費が安いということが上げられます。
集合住宅を新築する際の、構造別の建築単価(坪単価)は次の通りです。
木造/軽量鉄骨 | 60~80万円 |
---|---|
重量鉄骨 | 100~120万円 |
RC(鉄筋コンクリート) | 110~150万円 |
アパートは建築単価が安いので、その分物件価格も低くなります。
つまり、マンションに比べると投資総額が少なくなるため、借金に抵抗のある人でも比較的取り組みやすいといえます。
利回りが高い
建物の総額を低く抑えられることから、アパートはマンションに比べると利回りが1~2%高くなります。
アパートの建物性能(防音性能、耐震性能)はマンションに比べて劣りますが、家賃はそこまで低くなりません。
例えば東京の自由が丘駅徒歩10分以内、築20年以内、専有面積20-25㎡の1K家賃は次の通りとなります。
アパート | 9.2万円 |
---|---|
マンション | 10.2万円 |
出典:スーモ
家賃に関しては、アパートよりマンションのほうが1.1倍高いです。
一方で、建築費はアパートよりマンションのほうが1.5倍高いです。
そのため、アパートは建築費が安い割には、高い家賃が取れると言えます。
年度ごとの減価償却費が大きい
木造アパートの場合は法定耐用年数が22年となります。
RC47年、重量鉄骨35年と比較すると耐用年数が短いです。
基本的に建物の減価償却費は法定耐用年数で按分して計上可能です。
つまり、木造アパートはRCや重量鉄骨と比べると、年度あたりに計上できる減価償却費の額が大きくなり節税できます。
税金が安い
不動産に関する税金の中で代表的なものは、不動産取得時に発生する取得税と、固定資産税があります。
アパートは建物の評価額が低くなるので、不動産取得税、固定資産税ともにマンションよりも少なくなります。
ざっくりとですが同じ販売金額のアパートとマンションがある場合、アパートの税金はマンションの半分くらいです。
例えばマンション一棟の場合だと、固定資産税の年間納付額は家賃の1ヶ月分くらいが目安になります。
アパートだと固定資産税は月額家賃の1/3~半分くらいですみます。
アパートのデメリット
アパートには次のデメリットがあります。
- 中古だと融資が付きづらい
- 空室リスクが高い
中古だと融資が付きづらい
これは木造の耐用年数が22年とRC(47年)に比べて短いことと関係があります。
一般の銀行では不動産投資に融資する際に、建物の残存耐用年数と同じ融資期間を設定することが多いです。
つまり、築10年の木造アパートを購入した場合、残存耐用年数は12年(22-10年)となります。
そのため、融資期間も12年となるケースが多いです。
融資期間が短いと毎月の返済金額が大きくなります。
つまりキャッシュフローが少なくなります。
そのため、中古の木造アパートに融資を引く際には、築古であっても残存耐用年数以上の融資期間を設定してくれる特殊な金融機関(三井住友L&Fや静岡銀行)を使うことが多いです。
三井住友トラストL&Fはノンバンクの金融機関で建物の残存耐用年数とは関係なしに融資期間を30年間設定してくれます。
ただ、金利は3.9%と高く、共同担保も必要となります。
静岡銀行は静岡を地盤とした地銀です。
静岡銀行は首都圏と名古屋・静岡にかけて不動産投資向けの融資に積極的に取り組んでいます。
静岡銀行も築古のアパートに対して30年間の融資期間を設定してくれます。
金利は3.6%とやはり少しお高めです。
他の地銀で不動産投資向け融資を受けると金利は1.5%程度ですからね。
リスクを取って築古にも積極的に融資する見返りとして高い金利を設定しているのだと思います。
築古アパートに融資を受けるもう一つの方法は、地元の信用金庫を探すことです。
地銀と比べると信用金庫は融資期間を柔軟に伸ばしてくれる傾向にあります。
なかには建物の耐用年数を超えて長期間融資を出してくれる信用金庫もあります。
金利は地銀より少し高くて2%程度のところが多いようです(付き合いが長くなるともっと安くなりますが、最初の取引はこんなものです)。
僕は今まで中古の木造アパートは全て信用金庫から融資を受けてきました。
信用金庫のデメリットとしては融資エリアが限定されることです。
基本的に信用金庫の営業エリアに投資家の居住地と物件の両方が立地している必要があります。
そのため、自分の住んでいるエリアで物件を探す方だけが信用金庫を使えることになります。
このように中古のアパートを購入するとなると金利の高い金融機関を使うか、地元の信用金庫で購入する必要があります。
いずれも少しハードルが高いため、買える投資家も限られるということです。
つまり、売却するのが難しくなるので出口戦略が取りにくいという側面もあります。
空室リスクが高い
先日調査会社のタスが首都圏の木造アパートの空室率が30%を超えたという衝撃的なレポートを発表しました。
東京23区の空室率は約34%に達し、神奈川県ではなんと37%にまで上昇しました。
一方で、マンションの空室率は10%以下と木造に比べてかなり低くなっています。
タスの空室率レポートに関しては、次の記事で詳しく解説しています。
マンションのほうが空室率が低い理由としては、構造的に高層建築が可能なため、駅近の商業エリア等の人気エリアに立地していることが多いからです。
一方でアパートは郊外の地主が相続税対策で建てることも多く、必ずしも立地に優れているとは限りません。
そのため、賃貸ニーズの少ない地域に建てられているケースも多く、空室率上昇の原因ともなっています。
また、空室率が高い理由として、木造アパートはRCマンションよりも建物の基本性能(スペック)が低いことが上げられます。
特に防音性能に関して木造はあまり高くないため、アパートでは隣人の生活音が聞こえるという苦情がよく寄せられます。
マンションに比べるとアパートの住人は基本性能に対する満足度が低いため、退去につながりやすい側面もあります。
マンションのメリット
マンションには次のメリットがあります。
- 基本性能が高い
- 入居付けが簡単
- 融資が付きやすい/売却しやすい
- カッコ良いため、所有欲を満たせる
基本性能が高い
マンションのメリットといえば何と言ってもその高い基本性能(スペック)となります。
耐震性能
アパートとマンションでは、RC(鉄筋コンクリート)で作られているマンションが耐震性に優れています。
現在では工法によって地震や台風に強い造りの木造もありますが、RC造はより堅牢だといえます。
また免震構造や制振構造など、耐震性能に優れた建物を建築することも可能となります。
東日本大震災以降、耐震性能に対して関心が高い入居者も増えています。
その点、マンションは強いです。
防犯性能
マンションは建物自体がコンクリートで堅牢にできているので、セキュリティ性能が高いです。
また、マンションにはオートロック玄関モニターなどが標準的に据え付けられているところが多いですね。
そのため、セキュリティを重視する一人暮らしの女性にはマンションが人気です。
防音性能
壁が厚いマンションは非常に高い防音性能を持っています。
木造だと気になる隣部屋の生活音は、マンションであればほとんど気になりません。
耐久性能
RC造マンションの耐用年数は全ての構造の中で最長の47年間です。
耐用年数が長いRC造は、それだけ耐久性が高いということです。
耐久性が高いので、築年数が経ったとしても、それほど住宅の基本性能が変わりません。
それは家賃にも反映されて、木造に比べて経年劣化にともなう家賃の下落スピードは緩やかになります。
耐久性の観点から言うとマンションのほうが優れているといえるでしょう。
入居付けが容易
これは高い基本性能と関連があるのですが、価格が同じであれば木造のアパートよりもRCマンションのほうが圧倒的に客付けしやすいです。
特にセキュリティを重視する女性にはマンションが人気です。
先程タスが発表した空室率の違い(アパート30%、マンション10%)は圧倒的ですよね。
また、賃貸市場では木造アパートよりもRCマンションの数が少なく、希少性があります。
これは、マンションは建築コストが高く物件総額が大きくなり、購入できる投資家が限定されるためです。
特に地方ではRCマンションの数が少ないですから、マンションというだけで入居付けが簡単になります。
融資が付きやすい/売却しやすい
RCマンションの耐用年数は47年と長いため、中古であっても長い融資期間がとれます。
例えば築20年のRCマンションであっても、27年間の融資期間を確保することができます。
融資期間が長いと毎月の返済金額を抑えられるのでキャッシュフローが出やすくなります。
また、金融機関が重視する積算評価においては、木造アパートよりもRCマンションのほうが高くなります。
そのため、銀行の評価も高くなり融資がつきやくなります。
数年前までは築20年以内のマンションにフルローンを出す金融機関も多かったため、高属性会社員を中心に一棟マンション投資が流行しました。
ただ、最近は融資が厳しくなったため、金融機関から2-3割の頭金を求められます。
マンションはアパートに比べて物件総額が大きくなり、必要な頭金の額も大きなものになります。
そのため、現在一棟マンションを購入するハードルは少し高くなってしまいました。
ただ、東京23区のような人気エリアでは、相変わらず投資家の購入意欲は強いです。
東京には不動産投資や事業で成功している投資家や資産家がゴロゴロいます。
彼らにとって2-3割の頭金を拠出することは難しいことではありません。
そのため、東京23区で少し条件の良いマンションは今でも瞬間的に売れています。
カッコ良いため、所有欲を満たせる
マンションは単純に見た目がカッコ良いです。
重厚なRCマンションを持っていると、「俺ってマンションオーナーだぜい!」といった所有欲を満たしてくれます。
僕の所有物件は木造アパートばかりなので、マンションを持っている諸先輩方を見ていると羨ましく感じます。
マンションオーナーになれば、女性からモテるかもしれません(*^-^)
マンションのデメリット
高い建築費
RCマンションの建築費は木造と比べると1.5倍くらいします。
またRCに必要な型枠工の職人さんの人件費や材料であるモルタルや鉄筋の価格が上昇し続けており、RC建築単価も値上がりしています。
建築単価が日本一高い東京だと、RC建築単価は坪当たり120~150万円(税込み)くらいします。
低い利回り
建築費が高い分、マンションの利回りはアパートよりも低くなります。
建物の基本スペックはRCのほうが高いのですが、建築費の差ほど多く家賃を取れるわけではないからです。
キャッシュフローを稼ぎたい僕みたいな初期ステージの投資家にとっては、この低い利回りは痛いですね。
高い維持費
マンションは維持費も高額となります。
維持費の大部分としては、大規模修繕費用と固定資産税となります。
マンションの場合、大型で高層建築であることが多いです。
そのため、外壁塗装や屋上防水といった大規模修繕工事費が高くなります。
20~30戸の大型マンションの場合ですと、大規模修繕費だけで2-3千万円かかるケースもあります。
また、固定資産税もアパートに比べると高いです。
マンションは建物の劣化スピードが遅いので、その分建物価値の減少も緩やかです。
木造アパートだと築22年以上経てば建物の固定資産税はほぼゼロになりますが、RCマンションは47年間の長期に渡り高額な固定資産税が発生します。
まとめ
今まで見てきたとおりアパート・マンションともに、メリット・デメリットがあります。
どちらの手法でも成功している大家さんは沢山いるので、一概にどちらのほうが優れているとは言えません。
自分の特性(属性、資産背景、リスク許容度)に合った手法を選択していけば良いと思います。
収支計算ツールのご紹介
不動産投資で最も大切なことは『儲かる』物件を購入することです。
ただ、物件の利回りや価格だけを見ていても、本当に儲かる物件かどうかは判別できません。
例えば一見、立地が良くて、価格も手頃なので儲かりそうに見えたけど、実際に購入した後に運営経費や税金を考慮すると手残りキャッシュフローが赤字になってしまう物件もあります。
ぶっちゃけネットで検索すると収益不動産は山のように出てきますが、残念ながらほとんどの物件は儲かりません。
儲かる物件かどうかを判別するためには、自分自身で収支シミュレーションを行い、税金を支払った後に残るキャッシュフローの金額を正確に把握する必要があります。
ただ、初心者の方にとって賃貸経営において必要な運営経費を漏れなく計上するのはハードルが高いです。
また日本の税制は複雑なので、正確に税金を計算するのは至難の技です。
そのため、税金を考慮せずに収益不動産を購入した結果、想像以上の税金を支払うハメになり期待していたキャッシュフローが得られないことも多々あります。
そこで、初心者の方でもカンタンに税引き後のキャッシュフローを計算できるツールを作りました!
Excelを使うことができる方であれば誰でもOKです。
不動産業者から手に入れる販売図面から必要な項目をExcelにインプットするだけで、35年分の税引き後キャッシュフロー及び、売却後の手残り金額が自動計算されます。
印刷すればそのまま銀行に提出できる事業計画書にもなります。
手間をかけずに融資が引ける事業計画書を作りたいという方にオススメです!
JOJO収支計算ツールを詳しく見てみる>>こちら
オススメnote(記事)
融資を制するものは不動産投資を制するといっても過言ではありません。首都圏にある金融機関の最新の融資条件を記事(23,500文字)にまとめました。
金融機関ごとに「借り手の属性、融資金額、金利、融資期間、相性の良い投資手法」を具体的に記載しています。
僕は今まで30行以上の金融機関で融資審査を申し込み、10行以上の金融機関から融資承諾を得てきました。その全ての経験と知識を記事に詰め込みました。
自信作ですので、ぜひ読んでみてください!
noteを読む>> 【首都圏】不動産投資向け金融機関 攻略マニュアル 2021年版
不動産投資向け融資が厳しい今でも、フルローンを引いている投資家の方々がいます。
しかも地主や富裕層ではなく、普通のサラリーマン投資家の方がです。
普通のサラリーマン投資家がフルローンを引くためにできる裏技を記事(4,192文字)にまとめました。
単なる交渉テクニックだけでなく、『銀行が投資家に何を期待しているのか』といった本質的な銀行の思考プロセスを解説しています。
銀行の本音を理解して、フルローンや金利低減を勝ち取りたい方に読んでほしいです。
noteを読む>> 不動産投資でフルローンを引く裏技
関連記事
不動産投資における木造、鉄骨、RCの違いを解説しています。
区分マンション vs 一棟モノそれぞれのメリット・デメリットを解説しています。
初心者が不動産投資を始める前に読んでほしい記事をまとめています。