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マンションバブルは崩壊寸前

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最近どうやらマンションの売れ行きが良くないらしい。統計を見ても、マンション契約率は好不調の節目である70%を割り込んだ状態が今年に入ってからずっと続いている。また、昨今のマンション人気を牽引してきた武蔵小杉のタワーマンションについても、在庫が増えているらしい。SUMO等のマンション販売フリーペーパーを見ても既に完成しているにも関わらず、未だに販売を継続している大手ディベロッパーのマンションも多い。確かに実感としてもマンションは売れていなさそうだ。今回は、このマンション事情について掘り下げてみたい。

実は土地が塩漬け状態

都内のどこを歩いてもマンションやオフィスビルの建設現場に遭遇するが、実は塩漬けになっている土地も多いと聞く。昨今の不動産投資ブームとオリンピック需要からここ数年の都心の不動産価格の上昇には目を見張るものがある。不動産価格は大きく、土地の値段と建築費用の両方に分解することができる。その両方がものすごい勢いで上昇している。土地の値段は都心では毎年5%程度の値上がりが継続しているし、建築費用についても同じような状態だ。特に建築費用については、オリンピック需要に牽引されたホテル建設の盛り上がりに影響を受けて大きな上昇だ。大成建設等の大手建築会社が軒並み過去最高益をはじき出しているのはその証拠だ。需要のほうが強いため、大手建築会社は儲からないマンション建築を断るところもあるそうだ。そのため、ディベロッパーも安易に建築費用を削ることは難しくなっている。

とは言っても常にマンションを建設して、売り切ることをしないと売上が上がらない大手ディベロッパー達は、このような高値の土地であっても継続して購入している。しかし、ここ2年ほどの間に購入した用地でマンション事業を行っても、価格を上乗せしていったら購買層の手が届かない状態になっているようだ。そのため、土地は仕方なく塩漬けになる。理由は、土地購入時に想定した時点よりも、建築価格が上昇しており、合算して販売価格を設定しても高すぎて消費者が買ってくれないことがハッキリしているからだ。

そう、新築マンション市場についていえば、明らかに潮目が変わってきている。バブルが崩壊しかけていると言っても良いかもしれない。

都市部ではバブルが熟成

金融緩和やオリンピック需要を目当ての不動産投資などが重なった結果、15年から16年の前半にかけて、マンション価格は大きく上昇した。これは都市部だけで起きていることなので、都市型バブルと呼んでも良いと思う。

実際に価格が上昇しているのは、東京の都心とその周縁、城南、湾岸エリア。川崎市の武蔵小杉周辺。横浜のみなとみらいエリア。そして、それに続いて大阪のミナミや京都中心部が当てはまる。特に東京の港区の上昇値はものすごい。12年の終わり頃の販売価格と比べて1.5~2倍程度上昇。そのほか、山手線内では1.5倍程度の上昇だ。僕の知り合いでも、5~10年ほど前に購入した中古マンションが当時購入した価格と同じか、それ以上の価格で売れた人が多い。ざっくりいうと過去10年以内に都心でマンションを購入した人は、現状ではほとんど含み益をかかえているのではないか。

崩壊の兆しが見えてきた都市型バブル

ただ、冒頭で述べたように、すでに建物が完成しているにもかかわらず、売れ残っているマンションが増えてきている。最初は、青山や六本木という超都心で、いわゆる億ションと呼ばれる(この表現古いねw)高額マンションが売れ残り始めた。それが徐々に近郊に及んでおり、現時点では世田谷区や江戸川区でもマンションが完成後も売れ残るケースが多くなっていると言う。つまり、確実に新築マンションが売れなくなってきている。

賃貸に回そうとしても借り手がいない

都市部のタワーマンションの書い手の中には、投資目的の人も多数いる。特に中国を中心とした外国人投資家のほとんどは値上がり益を狙ってマンションを購入している。それが、最近になって大量の売り物件が流通市場に出始めたようだ。値上がりを期待して投資的に購入された住戸が多かったのだから、投資家たちが潮目の変化を敏感に感じ取って売り始めたのだろう。

ところが、多くの物件が売り出されている割に、買い手がつかない状態が続いている。大手ポータルサイトを見ても、築浅で売りに出されている都心のマンションが多く売れ残っている(販売中)になっているのを簡単に見つけることができる。つまり、マンションの購入意欲が減退してきて、売値が下がってきているのだ。

売れないマンションをもっている投資家は賃貸に出すしかなくなる。ただ、基本的に値上がり益を期待して購入しているマンションだから、もともと賃貸の利回りは低い状態だ。そのため、利回りを確保しようとすると(つまり借金返済以上のキャッシュフローを確保するため)、賃貸募集価格も下げるわけにはいかない。

ただ、どの投資家も考えることは同じで、同じマンション内でも沢山の住居が賃貸募集している状態だ。そのため、借り手が中々つかない状態だと言う。マンションの場合は借金返済に加えて毎月の管理費や修繕積立金といったランニングコストもかかる。また、木造に比べて倍くらい固定資産税が高い。そのため、賃貸に回してもキャッシュフローが出るケースはごくわずかだ。おまけに賃料を下げられないので、空室が長く続く。投資家にとっては困った状態だ。

金融機関が引き締めに入った

おまけに最近、金融機関が不動産投資向けのローンを引き締め始めた。既に日銀や金融庁が地銀を中心に査察に入り始めており、ここ数年で大きく不動産投資向け貸出が増えた地銀達は方針変換を余儀なくされている。最近、不動産会社からの売り込みメールの中にも、ローンキャンセルのため値下げされて再販されている投資物件が増えてきている。また、知り合いの大家の中でも、ローンが降りなくなってきたと話す人も増えてきている。このまえ信金の支店長と茶を飲んでいたが、信金でもローン引き締めは始めているらしい。特に賃貸経営経験が無い人々に対しての貸出は慎重になってきているらしい。

いつ価格が下落に転じるのか

とはいえ、新築マンションに関して言えば、今のところ不動産価格が下落しているというあからさまな動きは見られない。リーマンショック直後には、新築マンションのチラシには「値下げしました」との販売告知が多かったが、現在まだ「値下げ」の文字は見えない。ただ、明らかに買い手のニーズは減ってきており、潮目は変わってきている。

借り入れ金利コストがほとんどタダ同然の今、大手ディベロッパーは完成在庫を持っていても資金繰りに困ることはない。銀行がじゃぶじゃぶとお金を貸してくれるからだ。ただ、この金融緩和姿勢がいつまで続くかわからない。ほんとうにマンション販売が悪化してきたら銀行も簡単にはお金を貸さなくなるからだ。そうすれば、資金繰りに困った中小ディベロッパーから順にマンションの投げ売りが始まると思う。それが不動産バブル崩壊のきっかけになるのかもしれない。引き続きマンション販売状況については要ウォッチだと思う。

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