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低金利融資の罠

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最近、本当に銀行の貸出金利が下がってきたなあと感じる。僕が不動産投資を始めた5年ほど前だと、都銀でも1%代後半。地銀や信用金庫に至っては3%程度も珍しくなかった。それが最近では、1%台も珍しくない。属性の良い人に至っては0.5%程度で借り入れができるというから驚きだ。本当に融資って水物だなあと思う。

さて、そんな低金利時代。僕地震も低金利の恩恵を受けている一人。自宅も含めて合計4本のローンすべて金利引下げに成功している。

やっぱり低金利って最高!なんて思うが、そうとも言い切れない側面もある。今回はその問題点を考えてみたい。

低金利融資がついた鉄骨マンション

僕の知り合いで不動産投資家デビューを目指している人がいる。僕もたまに彼の相談に乗るのだが、そんな彼が良い物件を見つけたといってきた。どれどれ、どんな物件かなと聞いてみると。

  • 埼玉県さいたま市 某駅徒歩10分
  • 築2年 重量鉄骨マンション
  • 利回り 7.2%
  • 10部屋中、3部屋空室

昨今の物件高騰&低利回りの中、ほぼ新築マンションで利回り7%以上なのは中々優秀だ。この物件、不動産会社が既に銀行に融資評価の打診をしているらしく、満額フルローンがおりる可能性があるらしい。しかも属性が良ければ1%を切る金利が濃厚とのこと。築年数も浅いので30年ローンが組めれば問題なくキャッシュフローも出そうだ。僕の知り合いはすぐにでも買い付けを入れたいと言っている。

それでもやめた方が良い理由

ただ、ちょっと気になった点が一つ。売り主はなんで、こんな築浅の物件を売るのだろう? 購入時の諸経費や売却の仲介手数料を考えると2年しか保有していない場合、売り主は損をする可能性が高い。売り主は個人だと言う。2年で売却の場合、短期譲渡所得が発生して、利益に39%の税金がかかる。5年超経過の場合20%だから、2倍の税金を払う必要が出てくる。

■短期譲渡所得:売却した年の1月1日現在で「所有期間5年以下」の場合

所得税 住民税
30%(※注) 9% 39%

(※注)平成25年から平成49年までは、上記の他、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課される。

そのため、物件の値上がり益を狙っての売却とも思えない。実に怪しい。

注目したポイントは、築2年で空き室が10部屋中3戸あるということだ。何故築2年で空室が30%なんだ?通常新築してから5年間くらいはほぼ満室で経営できることが多い。それが、わずか2年で空室が続いている。明らかにおかしい。

興味があったので、不動産会社から色々と資料を取り寄せてみた。すると理由がわかった。まず、家賃の設定が高い。周辺の相場からして約15%程度高い印象だ。空室の3部屋は新築の後退去が出てから一度も次の入居者が決まっていない。つまり、新築プレミアムの際にはなんとか決まったが、2回転目からは明らかに高すぎる家賃設定になっている。

また、よく見るとプロパンガスである。この物件がある辺りは都市ガスが標準的だ。気になったので、この物件の募集広告をしている仲介会社に問い合わせてみると、この物件は相当割高なプロパンガス料金が請求されているらしい。そのため、入居者の不満が高いことがわかった。そのため、定着率が悪く、築浅にも関わらず退去が頻発しているのだ。

つまり、売り主の思惑は

  • 新築時の家賃設定が高すぎて、新しい入居者が決まらない。
  • 決まっても、プロパンガスなので退去が頻発する。
  • 家賃を下げて次の入居者を決めると、表面利回りが下がる(高く売れない)
  • 次の入居を決める前に、売り逃げたい。

という理由がわかった。まあ、そうそう美味しい話なんて無いわな。

こういう物件が出回るのは「低金利融資が当たり前」になっていることが背景にあると思う。多少利回りが低くても、低金利なので、キャッシュフローが回るように見える。そのため、この物件のように少し表面利回りが良い物件は魅力的に見えて、初心者が購入してしまうのだ。こう考えると、低金利も考えものだなと思う。

この物件、標準的な相場家賃で計算し直すと、利回りは6%程度にまで下がる。すると、売り出し価格は大幅に下る。それでは、売り主は残債を返済できないだろう。

高い金利の銀行のメリット

低金利だからこそ、上述のように物件の高値掴みをしてしまうリスクがある。一方で、高い金利で有名なスルガ、静岡銀行や三井住友L&Fなんかは、表面利回りが高くないとキャッシュフローが回らないので、購入者も高利回りな物件を購入しようと必死になる。つまり、割安な価格で購入することが多くなることになる。

高い金利でも、それを上回る利回りが見込めれば経営は成り立つ。家賃を引き下げる余地もあるので、やる気にさえなれば空室も埋めることができる。

結論

不動産投資の成否は、入り口(買値)でほとんど決まると考えている。もちろん、大家の経営センスや努力によって家賃を上げたり、空室を下げることもできる。ただ、安く買って、相場より安い家賃で貸し出すことができれば、大した努力もせずに満室経営をすることは可能だ。

低金利で融資がつくからといって、物件を高値づかみすることだけは避けたいと思う。

ただ、最後にスルガとか静岡銀行を使う人に注意点を上げておこう。よく不動産会社の営業マンは、一旦融資の緩いスルガとか静岡銀行で融資を引いて、その後金利の安い地銀に借り換えすれば良いと言う。実際は、ほとんど借り換えできないケースが多い。スルガや静岡銀行は独自の物件価値の評価指標を持っている。その指標のもとでは価値のある物件でも、他の通常の金融機関では担保割れ(債務超過)と評価されることがほとんどだ。借り換えはあくまで、例外だと言うことは肝に命じておいてほしい。

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