訪日外国人客が4年連続で過去最高となる2400万人(2016年)を突破しましたね。
実は僕は8年ほど前ににYOKOSO JAPANという名の外国人誘致事業に参加していたことがあるのですが、その時は目指せ外国人観光客800万人でした。必死になって外国人向けのチラシやパンフレットを作っては、配布していたことが記憶にあります。
いまや、以前の3倍もの数に膨れ上がっています。隔世の感がありますね。
さて、2020年の東京五輪開催に向け、インバウンド景気のさらなる拡大が期待されています。特に“五輪特需”を逃すまいと躍起になっているのが「ホテル業界」です。
東京では至る所でホテルの開業ラッシュを控えています。
少し前までは、東京に来るサラリーマンが泊まるホテルが無いので、千葉のホテルにしたなんて話も聞いていたくらい稼働率が逼迫していました。
ただ、最近では、一時懸念されていた東京のホテル不足も何のその、大幅緩和されるとの予測さえ出始めています。
懸念されるホテル供給過剰
確かに全体として外国人観光客数は増加しているのですが、実は2016年の日本全体でみると延べ宿泊者数は対前年比でマイナスに転じているのです。その理由は、宿泊者数のうち85%を占めるといわれる日本人宿泊者数が減少しているのです。
政府は賃金を上げて、消費者にお金を使わせようと躍起になっていますが、中々皆さん財布の紐は硬いようですね。
僕自身もそうですが、景気が良くなったっていう実感はあまりないですね。
それよりも税金や社会保険料が年々上がっており、サラリーマンの手取り額は5年前に比べて5%減少しています。
そりゃあ、旅行にもお金を割けません。
そんな状況の中、ホテルの新規供給客室数は、2018年までに東京だけで約1万9000室、全体としても2割増加する見通しです。
これって、すごいことです。だって2割も部屋数が増えるということは稼働率が2割減るってことです。
つまり、稼働率90%のホテルが稼働率70%にまで下がるということです。稼働率が20%も下がったら経営できなくなるホテルも多くなるのではないでしょうか。
そのため、一部関係者の中ではホテル不足どころか供給過剰の懸念も出始めている。
民泊との競争も激化
しかも、最近、民泊新法が国会を通りました。年間の宿泊数に上限が設けられたので、少しハードルが高くなりましたが、これで正々堂々と民泊に参入できると考えている不動産投資家も多いと思います。
ただ、これからホテル余りの時代がやってきます。更に民泊の数も増えていきます。
一方で、外国人観光客の伸びは予想していたほどには増えない。
すると、競争が激化して、ホテルや民泊の稼働率や宿泊費も低下していきますよね。
どちらにとっても濡れ手に粟の状態ではなくなると思います。
もしも不況がやってきたら
インバウンド需要は、円高になったり、北朝鮮の軍事行動が激化したりしたら、一気に冷え込む可能性もあります。
前回の熊本地震の時も、熊本のホテル産業には大きな影響を与えました。
そして、今後、起こるリスクの中で最大のものが、“オリンピック型不況”と言われるものです。
オリンピック開催まではインフラ整備等の特需効果で景気が良くなると言われていますが、、五輪が終わると一気に景気が悪くなるのが今までの開催国を見ればわかります(まあ、ロンドンオリンピックのような例外もたまにありますが)
実際に、リオオリンピックでもホテルの客室数が倍増しましたが、五輪後客室単価はもちろん稼働率も下降して、閑古鳥が鳴いていると聞きます。
しかも、増えるのはホテルだけではありません。マンションだって爆発的に増えます。
お台場等の湾岸エリアを中心に選手村を建設中ですが、それらはオリンピック終了後にリフォームが施されて新築マンションとして売りに出されます。その数5,000戸。これらが2020年以降に一気に市場に放出されます。
すでに、お台場や豊洲付近ではオリンピック後の価格下落を見越して中古マンション値段が昨年比3.6%も減少しています。
賃貸アパートに至っては、色んなところでニュースになっている通り相続税対策やサラリーマン兼業大家の増加で急激に増えていることは広く知られています。
今後、不動産価格は確実下がる時代がやってくる
ホテル、民泊、マンション、アパート、日本中の不動産が全て供給過剰になる可能性が濃厚です。確かに建物や再開発を行っている最中はお金も人も動きますので、景気が良くなります。
ただ、その後供給過剰がやってくれば、空室率は上昇し、不動産業界全体に冬の時代がやってきます。
僕たち不動産投資家にとっても厳しい時代が来るでしょう。
その不動産供給過剰の世界でも競争に打ち勝つことの出来るように、不動産投資の知識・経営能力の強化をしておきたいと思います。
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