一軒家やマンションの一室を複数人で共有して暮らす「シェアハウス」。リアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ/2012年~)では、若い男女が楽しく賑やかに共同生活を楽しみ、「シェアハウス=オシャレ物件」というイメージを頂いている人も多いと思います。
また、大家さんの中にもシェアハウスを手がける人が多くなってきました。
その背景としては、昨今の不動産価格高騰のため、高利回り物件を探そうとするとどうしてもシェアハウスか民泊物件(これはまだグレーですね)に辿り着くからです。
確かにシェアハウスは初期投資も低く、通常のアパートに比べて高い利回りが期待できます。
シェアハウスも初期の頃は任せられる管理会社の数も少なく、大家が自ら労働力を投入して管理・運営を行う必要がありました。入居者同士のいざこざも調停する必要があり、大変だったようです。
ただ、現在では、ノウハウを持った管理会社も多数存在し、そういった管理会社に全部任せてしまえばシェアハウスの賃貸経営といっても、一般のアパートとはそんなに変わらない状況になりつつあります。
ただ、僕はシェアハウスは投資対象外としています。今回はその理由を述べたいと思います。
我慢して住んでいる入居者
シェアハウスといえば、オシャレでカッコ良い、そして若者同士の間でひょっとすると恋愛に発展する出会いの場でもあるかのように思われがちです。
ただ、実態はそうでもないようです。
本当はアパートに引っ越したいけど、初期費用や家賃が払えないからシェアハウスに住み続けるしかないという人が大半のようです。
もちろんシェアハウスが好きで住み続ける人がいるのも事実ですが、やっぱり人間は自分のパーソナルスペースをきちんと確保したいと考える人が大半のようです。
仕事で疲れて家に帰って来ても、シェアハウスの共用部では同居人たちとは顔を合わせるしかありません。
くつろいでテレビを見たいと思っても、自分の好きな番組を見れるかどうかはわかりません。
こう考えると、僕だったらシェアハウスには入居できないなあ~と感じてしまいます。
劣悪な条件の違法シェアハウスもある
6畳の部屋に2段ベットを2~3つ搬入して複数人住まわせている物件や、部屋内に窓がひとつもない物件など、明らかに建築基準法に反しているシェアハウスも存在します。
こうした違法シェアハウスは都心部などの立地が良い割に家賃が安いので、居住環境が劣悪でも借り手はいるようです。ただ、長く住み続けることはできないので、退去が相次ぐようですが。
シェアハウスは住む人を幸せにするのだろうか?
すべての人が健康で文化的な生活を送るために適切な住居に居住できる権利というのは、日本国憲法第25条でも定められています。
ただ、果たしてシェアハウスが住むことが人の幸せに貢献するのか?というと、僕はどうしても疑問に思わざるをえません。
お金が無いから我慢してシェアハウスに住んでいる人が大半の中、できればもっと快適な住環境を求めたいと考えているはずです。
僕は賃貸経営を行う時に、近江商人の「三方良し」という格言を大事にしています。
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。
売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということです。
この場合、買い手が入居者になるのですが、入居者にとって満足できる商売であるとは思えないのです。
もちろん、夢のために少しでも節約してシェアハウスに住み続ける人もいると思います。
ただ、それでも僕は狭くても良いから自分のパーソナルスペースが確保できるアパートのほうが入居者の満足度は高いと思います。
また、「世間良し」に関しても、このような良い環境とは言えないシェアハウスが世の中に増え続けることは、貧困ビジネスの温床となり、決して良いこととは思えないのです。
シェアハウスではなく、古くても良いので、独立した生活を営めるアパートに入居できるような社会であるほうが僕は健全だと思います。
そう考えると、あまり居住環境の良くないシェアハウスはオーナーである「買い手良し」だけを追求している商売に思えてなりません。
もちろん、居住性が高く、入居者の満足度の高いシェアハウスを運営している大家さんも多いと思います。そのように三方良しの商売をされている方は例外だと思います。
僕は、少しでも入居者の方が満足してもらえる居住スペースを提供することが、大家としての責任であり、賃貸商売の秘訣だと思っています。
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