大手ディベロッパーが続々と投資用ワンルームマンション分譲事業に参入している。
そんな中、最大手の一角を占めるA不動産に実際に問い合わせをしてみた。
マンションのスペックは次のとおりだ。
投資用ワンルームマンション概要
- エリア:東京都品川区 某私鉄徒歩6分
- 構造:SRC
- 間取り:1K(25㎡)、1LDK(30㎡)
- 完成予想:2017/10月
- 価格:2500万円~3500万円
- 募集家賃:93,500円~130,000円
- 想定利回り:約4.5%
まず、Webで資料請求を申し込んだ。
すると翌日すぐにA不動産会社の営業担当者から電話で連絡があった。
A不動産会社は業界でもトップクラスである。
そんな不動産会社から売り込みの電話がかかってくるなんて想像もしていなかったため、驚いた。
営業担当者にヒアリング
せっかくの機会なので、色々と教えてもらうことにした。
まず、想定利回りを聞くと、4.5%と言う。
港区のような超都心では現在利回りが3%以下に減少していることを考えるとまずまずの水準だ。
想定家賃を聞くと、1K(25㎡)で93,500円からという。
RCで新築、駅チカということを考えるとこちらもそれほど高い家賃設定ではない印象だ。おまけに礼金がかからないという。
さぞかし販売好調なのだろうと思って、売れ残り在庫はまだありますか?と聞いた。
それがどうやらまだたっぷりと在庫はあるらしい。
もちろん、明確に在庫があるとは言わないのだが、色んな間取りのタイプや階数の部屋ごとに在庫の有無を確かめると、感覚的にだが2/3は売れ残っているようだ。
完成まで残りあと6ヶ月という状況を考えると、販売は好調とは言えない気がする。
A不動産会社のブランドのマンションであれば、昨年までであれば、発売開始と同時に抽選になり、あっという間に完売することも多かったはずだ。
それが意外にも売れ残っているという。これが、わざわざ僕みたいな弱小投資家相手にセールスの電話をしてきた理由のようだ。
え、フルローン?
知名度もトップクラスのA不動産会社。
富裕層がターゲットなので、現金購入を前提にしているのかなと思った。現金があまりないので、どんくらいの頭金が必要かを恐る恐る聞いてみた。
借金しないと買えないような客は門前払いされるかな?と思ったが、回答は意外だった。
なんと、営業担当は「フルローン可能です」という。
しかも提携先の金融機関まで揃えており、3行の中から選ぶことができるらしい。
提案された返済条件
- フルローン
- 返済期間:35年
- 変動金利:1.3%~1.95%(団信込)
金利は購入者の属性によって変わるらしいが、2%を超えることはないらしい。
知り合いの不動産投資家の中には1.0%を切る金利で借りている人も沢山いるし、僕自身も提示された金利以下で借りている。
正直、金利が少し高いんじゃないか?と思った。
恐らく、ターゲットは僕が想定したような現金買いできる富裕層ではなく、少し年収が高い程度(恐らく1,000万円くらい)のサラリーマンがターゲットなのではないかと。
資産家であれば、もっと低い金利で借りることができるからだ。
ただ、フルローンでもキャッシュフローは黒字になるらしい。
とはいっても毎月の黒字額はほんの僅かであり、空室が出ればその年は容易に赤字転落するかもしれない。
ただ、大家の経験のない人には、一見優良な条件だと思うだろう。
なにせ持ち出しなしで、一流A不動産のワンルームマンションのオーナーになれるのだ。
僕も、収支を考えなければオーナーになってみたい。
だって、A不動産のブランドのマンション保有者ってだけでカッコ良い気がする。思わず友達にも自慢しちゃうかもしれない。
セールストーク
そして、東京の不動産市場の成長可能性を説得力のある言葉で説明してくれた。ポイントは次のとおりだ。
- 少子化が進行しても、東京だけは人口が増え続ける。
全人口は減少、全国の自治体の80%以上が減少しているにもかかわらず、東京23区など大都市圏では人口が増加傾向。
- 子供のいない夫婦や単身世帯の増加による都心ワンルーム賃貸の需要
東京には社会人や学生など単身者の借家住まいも多く、単身世帯は全世帯の約半数を占めている。東京における単身向け・小家族向けの賃貸住宅すなわちコンパクトマンションのニーズはかなり高い
これだけお膳立てされてても、やっぱり販売苦戦
このように、買わない理由は無いくらいお膳立てが整っている状況にも関わらず、在庫がある。
つまり販売は苦戦しているのだ。
昨年までの状況であれば、きっと速攻完売だっただろう。
だが、投資家の心理が冷え込んできているのではないか。
日経新聞を筆頭に、色んなメディアで不動産投資の過熱ぶりが報道されてきている。
また、全国的な空室増加の度々ニュースに取り上げられている。
こうした風潮が確実に投資家の購入意欲を削いているのではないか。
結論
A不動産であっても、これだけ投資用ワンルームマンションの販売が苦戦している状況では、他の中小ディベロッパーはの事情はもっと深刻だろう。
今まで加熱してきたワンルームマンション投資への熱が冷めつつあることを感じる。
投資家の熱が冷めつつあるのが、一時的なものなのか、この先のバブル崩壊の予兆なのかはわからない。
ただ、僕たち不動産投資家はそろそろ警戒しないといけないタイミングに来ていると思う。
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