こんにちはJOJOです! 東京23区でアパート4棟32部屋の大家をしています。
スルガ銀行の不正融資問題が発覚してから、不動産投資に逆風が吹いています。
特に、不動産投資向けに銀行の融資が出にくくなっているため、徐々に物件の価格が下がってきました。
読者の皆さまの中には、『そろそろ売却して利益確定したほうがよいかな?』とか『運営が大変な物件は早めに手放したいな』とか考えている方も多いと思います。
売却するなら、高値で売却したいですよね。
今回は、収益用不動産を売却したいと考えている方向けに、一番高く売却するコツをご紹介します。
売却価格の決め方は複数ある
皆様が所有物件を売却したいと思った時には、不動産会社に売却を依頼すると思います。
そして、不動産会社から提示してもらった査定金額をベースに売却金額を決めることが一般的です。
ただし、不動産会社が常に適切な売却価格を提案してくれるとは限りません。
というのも、売却価格の計算方法(査定方法)には3つの種類があり、収益物件の売却にふさわしい査定方法を知らない不動産会社も多いからです。
3種類の売却価格の計算方法
- 周辺相場をベースに売却価格を算出する
- 積算価格を元に売却価格を算出する
- 借入可能額から売却価格を算定する
売却価格の計算方法によって査定金額も大きく異なります。
結論から言うと、収益物件を売却する際に一番適した計算方法は「借入可能額から売却価格を査定する」です。
この計算方法を使えば高値でかつ、確実に売却できる価格を算定することができるからです。
ただし、全ての不動産会社がこの借入可能額から売却価格を査定する方法を採用しているとは限りません。
実際に収益物件の売却経験が少ない不動産会社だと全然違う計算方法で査定金額を出してくるところもあります。
そのため、僕たち不動産投資家も売却価格の計算方法を理解して、不動産会社が出してくる査定金額が正しいかどうか判断できるようになる必要があります。
これから上記3つの売却価格の計算方法をわかりやすく解説していきます。
周辺相場をベースに売却価格を算出する
不動産会社にどのように売却査定をしたのかを問い合わせると、「周辺相場をベースに売却価格を算定しました」と回答する会社が多いです。
この方法は一見妥当そうに見えますけど、実は一番信頼できない価格算出方法です。
なぜならば僕も含めた一般の個人投資家は相場を知ることができないからです。
相場とは、実際の成約価格です。
不動産には2種類の価格があります。
一つは不動産ポータルサイト等に掲出されている売り出し価格。
もう一つは実際に売買がされた価格である成約価格です。
一般的に不動産は、売り出し価格に対して買い主側から価格交渉が行われ、多少の値引きが行われて成約されます。
僕たち個人投資家が知ることができるのは最初の売り出し価格だけです。
成約価格は不動産業者にしかオープンにされていません。
不動産業者は売買を行った場合、実際の成約価格をレインズという不動産情報システムに登録することが義務付けられています。
このレインズは不動産業者しか閲覧することができないため、一般の個人投資家は成約価格を知ることができないのです。
不動産業者の中には個人投資家との情報格差を利用して、あえて相場(=成約価格)よりも低い金額で売却を促してくるところがあります。
その手口はこうです。
まず売却の依頼を受けた不動産会社は最初は相場よりも高い売却査定金額を提示します。
売主の心理としては少しでも高値で売りたいですから、一番高い査定金額を出してきた不動産会社に売却を委託したいと考えます。
そのため、不動産会社はあえて高い査定金額を出して専任媒介契約を獲得しようとします。
ただ、相場よりも高い金額ではなかなか売れません。
そして売りに出してからしばらくすると、不動産会社は色々と理由をつけて売主に価格を下げるように要求してきます。
融資が厳しくなって購入できる投資家が少なくなっているとか、繁忙期を逃してしまったために購入希望者が少ないとかです。
売り主である個人投資家も売りに出してから反響がないと不安になりますから、ついつい値下げ要求を受けてしまいます。
収益不動産は相場よりも安い価格であれば簡単に売ることができます。
悪徳業者ですと、売り主の無知につけこんで明らかに相場よりも安い価格に誘導し、自社で買い取ってしまいます。
そして、相当な利益を載せて転売してしまいます。
業者は儲かりますが、売り主は大損です。
ただ、売り主である個人投資家は正確な相場(成約価格)を知ることができないので、不動産会社の言い値で売却してしまう人も少なくありません。
そのため、査定金額の根拠を問い合わせた時に、「周辺相場をベースに売却価格を決めました」としか言わない不動産会社の場合は要注意です。
積算価格を元に売却価格を算出する
積算価格というのは、金融機関が不動産の担保価値を評価する際に使う計算方法で算定された価格のことです。
実は積算価格(金融機関の担保評価)と同じ金額で売りに出せば、確実に売ることができます。
なぜならば、売却価格が金融機関の担保評価額と同じであれば、その物件に対して満額融資が出るからです。
ただ、この方法の難点は、売却価格が実際の相場よりもかなり低くなってしまうことです。
積算評価は、もともとは国税局が相続税の評価額を算出するために使っている手法です。
それを、銀行が担保価値を決める手法として採用しているわけです。
国が定める評価方法ですから、保守的な価格になるのはなんとなく分かりますよね。
積算評価では、土地と建物で求め方が違います。
土地の価格は、国税局が公表している路線価に土地面積をかけて算出します。
一般的に、都市部では路線価よりも市場価格のほうが1.5倍くらい高くなります。
そのため、路線価で土地の値段を計算すると、市場価格の2/3くらいに安くなってしまいます。
一方で、建物の価格は、再調達価格に経過年数を加味して算出します。
再調達価格は、建物の構造によって違います。
1㎡あたりの再調達価格は次の通りです。
- RC:20万円
- 重量鉄骨:18万円
- 木造:15万円
再調達価格は市場価格の約2/3程度です。
つまり、積算評価では土地も建物も相場よりも低い価格で評価されてしまうのです。
不動産業者の中には、早く売却して仲介手数料を稼ぐために、積算価格で計算した売却査定金額を提示するところがあります。
そして相場を理解していない個人投資家の中には、不動産会社が出してきた相場より低い価格を鵜呑みにしてしまって、そのまま安値で売却してしまう人もいます。
確実に売却できるかもしれませんが、売り主は儲かりませんよね。
そのため、積算評価で売却価格を算定してくる不動産会社があれば、注意する必要があります。
借入可能額から売却価格を算定する
冒頭で申し上げた通り、この「借入可能額から売却価格を査定する」方法こそが収益物件の査定に適した方法です。
この方法は、収益不動産を専門に取り扱っているプロの不動産会社が使う手法です。
そして、この方法で算出した売却価格が『最も高値で、しかも確実に売却できる価格』となります。
では具体的な計算方法を見ていきたいと思います。
この方法では、『どの金融機関なら、最大でいくらの融資がでるのか?』を最初に考えます。
具体的にはその時点で、最も積極的に融資を出している(=最も審査基準が緩い)金融機関を選び、その金融機関が利用しているロジックを利用して融資予想額を算定します。
融資がつけば、買ってくれる投資家は必ず存在するからです。
具体的なケースを例に上げて詳しく見ていきましょう。
具体的な算出方法はコレだ!
- 売出し価格:1億1,000万円
- 表面利回り:7.20%
- 物件所在地:東京都板橋区 都営三田線 板橋区役所前駅 徒歩7分
- 構造:軽量鉄骨2階建 総戸数8戸
- 築年月:2009年4月(築9年)
- 建物面積:228.54m²
- 土地面積:236.57m²【71.56坪】
- 家賃年収(満室時):791万円(月収66万円)
この物件は、大手収益不動産ポータルサイトに掲載されているものです。
この物件の売出し価格をつけていきましょう。
ポイントは、一番融資の緩い銀行が出してくれる、融資金額を算出することです。
ここでは、オリックス銀行を例に上げて計算します。
投資家が求める返済比率をもとに、返済額を決める
まずは、毎月の返済可能額を算出します。
一般的に、賃貸経営において安定的に運営できる返済比率は60%~70%と言われています。
そのため、買う側の投資家の立場からすると、家賃収入に対して、返済額は70%以下に抑えたいと思うでしょう。
そのため、この場合の返済可能額(上限)は次のように求めることが可能です。
家賃月収66万円 ✕ 70% = 46.2万円
逆の言い方をすると、返済額が46.2万円以下になるように融資が組めれば、この物件を買いたいと思う投資家がでてくるわけです。
返済金額から借入可能額を調べるためには、ローンシミュレーションサイトを使います。
ちなみに僕は『ローンシミュレーター』というサイトを使っています。
このサイトに次の3つの情報をインプットすると、借入可能額が算出されます。
- 返済額(月額)
- 返済期間
- 金利
まず返済額(月額)は先ほどの46.2万円を入力します。
次に返済期間を求めます。
この建物は、築9年の軽量鉄骨なので、残存法定耐用年数は13年(22-9)になります。
一般的な銀行ですと、融資期間は13年になりますね。
ただ、オリックス銀行であれば、築浅の木造・軽量鉄骨のアパートには融資期間30年間を設定してくれます。
そのため、返済期間には30年を入力します。
次に金利にはオリックス銀行の標準金利2.3%を入力します。
すると、借入可能額が計算されます。
今回の場合、1.2億円と出てきます。
オリックス銀行は投資家の属性次第ではまだフルローン融資がでています。
そのため売却価格=借入可能額(1.2億円)にすれば、購入できる投資家がいるはずです。
売却価格1.2億円で利回りを計算してみると、6.6%になります。
一方で、この物件が大手収益不動産ポータルサイトで売り出されている価格は1.1億円、利回り7.2%です。
つまり実際に売却可能な金額よりも1,000万円ほど低い価格で売り出されていることがわかります。
これでは売り主にとって機会損失になりますね。
逆に言うと、この売り出し価格は「割安」なので、買い主にとってはお得な物件と言えるでしょう。
まとめ
このように、不動産会社が提示してくる査定金額が正しいとは限りません。
そのため、不動産投資家自らも不動産会社が売却金額を計算するロジックをしっかりと理解し、査定金額が妥当かどうかを判断できることが大切です。
ここで紹介した『借入可能額から売却価格を算定する』方法はローンシミュレーションサイトを使えば誰でも簡単に売却可能価格が算定できます。
まずは自分でも売却可能価格を算定してみて、実際の不動産会社から出てくる査定金額と比較してみると良いと思います。
ただ、このやり方の注意点としては、銀行が融資基準を厳しくすると、売却価格が一気に下る可能性がある点です。
例えば、借入年数が35年から20年に減るだけで3割ほど価格が下がります。
そのため、常に銀行の融資基準をチェックしておく必要があります。
特にスルガ銀行の不正融資問題が発覚して依頼、多くの金融機関の融資が大変厳しくなっています。
以前はどの金融機関も耐用年数超えの築古物件に積極的に融資をしてくれていましたが、今は建物の法定耐用年数以内でしか融資期間を設定してくれないところがほとんどです。
また、融資期間が短くなったのに加えて、頭金を2割以上求められます。
現時点では、幸いに不動産投資向け融資に強い一部の金融機関(オリックス銀行、静岡銀行、スルガ銀行(融資再開後))が耐用年数以上の融資期間を設定してくれて、更に少ない頭金(頭金5%~10%)で融資を出してくれています。
ただ、これらの金融機関がいつまでも同じ条件で融資をしてくれるかどうかはわかりません。
そのため、売却を検討されている方は、これらの金融機関が融資基準を変える前に売却してしまったほうが良いかもしれません。
とりあえず売却査定だけでも出しておきましょう。
ちなみに、売却査定をするならば、大手不動産会社6社が参加しているすまいValueがオススメです。
このすまいValueは、日本の大手不動産会社6社が共同で運営している不動産売却ポータルサイトです。
参加している不動産会社
- 三井のリハウス(三井不動産リアルティ)
- 住友不動産販売
- 三菱地所ハウスネット
- 野村の仲介(野村不動産)
- 東急リバブル
- 小田急不動産
売却するなら、絶対に大手不動産会社に依頼したほうが良いです。
それは買い手の心理を考えるとわかります。
初心者の方が不動産を購入しようとしたら、まずは安心の大手不動産会社に行きますよね。
そして、不動産を一番高値で買ってくれるのは、このような初心者の方なので、結果として大手不動産会社に売却依頼したほうが高値で売れるのです。
また、大手不動産会社であれば、豊富な売却実績があるので、最新の顧客動向、金融機関の情勢を踏まえた売却価格を正確に算出することが可能です。
『自分の物件がいくらで売却することができるのか?』を把握しておくことは投資家にとって大切です。いざとなったら、すぐに売却に動けますからね。
そのため、僕はすぐに売却するつもりがない物件も定期的に査定に出しています。
すまいValueならたったの60秒で一括査定ができるので、とても便利です。
カンタン一括査定依頼する>>すまいValue

あと、不動産を売却しようと思った時に、どれくらい税金がかかるのか分からず不安を感じているかたもいると思います。
次の記事では不動産売却に必要な税金がわかりやすくまとめられています。ぜひ参考にしてみてください。↓ ↓
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