こんにちはJOJOです! 東京23区でアパート4棟32部屋の大家をしています。
『成功している大家さんが今不動産投資を始めるとしたら、どんな物件を買うんだろう?』
『融資が厳しい今、初心者にはどんな投資手法がふさわしいのか教えてほしい。』
僕は毎週のように大家の会に出席するのですが、最近初心者の方からこのような質問を頂くことが増えてきました。
確かに、スルガ問題を契機に不動産投資に対する金融機関の融資はめっきり厳しくなりました。
その結果、不動産投資のハードルは一気に上がってしまい、なかなか物件が買えないと苦労している初心者の方も多いです。
ほんの1年前までは、初心者サラリーマンの方でもバンバンフルローンで融資が出ていたのですけどね。
ただ、金融機関の融資状況は自分の力で変えられるものではありません。
その時々の融資状況に合わせて、最適な投資戦略を考えていく必要があります。
逆に考えると金融機関の融資が厳しくなるということは、不動産投資のライバルが減るということ。
実際に、徐々に収益不動産の価格が下がってきています。
物件を安く購入できるチャンスが来たとも言えます。
そこで、僕の知り合いの有名大家さん3名に、『もし今、初心者だったら、どんな物件を購入するのか?』を質問してみました。
今回は、彼らの回答をふまえながら、これから不動産投資を始める方向けに最適な投資手法を解説していきます。
結論としては、次の2つの投資手法になります。
- 築古戸建
- 中古区分マンション
それでは、くわしく見ていきたいと思います!
金融機関の融資は本当に厳しい
まず最初に最新の融資状況を解説します。
現在、不動産投資向けの融資は非常に厳しい状態です。
少し前まで、どの金融機関も競うようにフルローンをバンバンだしていたのが信じられないくらいです。
初心者へのハードルは特に高い
特に、不動産投資初心者のサラリーマンに対しては、多くの金融機関が融資を一時的にストップしています。
年収が1,000万円以上あるような高属性サラリーマンであっても、初めて不動産投資を行う場合は融資審査に苦戦している人が多いです。
首都圏の地銀(きらぼし銀行、千葉銀行、横浜銀行)にヒアリングした限りでは、初心者の方が不動産投資向けの融資を受けるためには、以下の条件を満たす必要があるようです。
- 年収1,000万円以上の会社員
- 金融資産1,500万円以上
普通の会社員だけの給料で現金1,500万円も貯めるのはかなりハードル高いですね。
そのため、これから不動産投資を始めるのであれば、地銀以外の金融機関を使ったほうが良さそうです。
一棟もの物件への融資はかなり厳しい
不動産投資の中でも、一棟モノと言われるアパート・マンション一棟に対する融資は厳しさを増しています。
実は先日、僕も一棟モノの融資を信用金庫にお願いしましたが、融資を断られました。
都内の新築アパートの融資をお願いしたのですが、頭金2割を入れることを提案したにも関わらず答えはNOでした。
理由は、サラリーマン投資家に対しての融資はすべてストップしているからとのこと。
物件の評価は一切考慮せずにサラリーマン投資家というだけで融資を停止するのはどうかと思いますけどね。
仕方ないので、僕はこの信用金庫との取引は諦めました。
ちなみに、一棟アパート・マンションへの融資を出してくれている金融機関はまだ存在していますが、どこも頭金を多く入れることを要求してきます。
最低2割。できれば3割は必要といわれます。
初心者に積極的に融資してくれていた日本政策金融公庫(いわゆる公庫)も融資審査が厳しくなっています。
2018年の上期までは耐用年数超えの築古アパートに融資期間25年でフルローンが出ていましたが、現在はフルローンは不可です。
頭金を2割以上入れて、融資期間10年を引き出すのがやっとです。
そのため、一棟ものへの投資は事実上かなり厳しくなっていると言えます。
新築アパートも厳しくなっている
一棟モノの中でも、新築アパートは最近特に融資基準が厳しいようです。
不動産業者から建売の新築アパートを購入する場合は、業者の利益がたっぷり乗っているので割高です。
新築アパートで収益を確保するためには、自分で土地を仕入れて、自分で工務店に建築を発注する『土地から新築』に挑戦するしかありません。
ただ、『土地から新築』は初心者の方にはハードルが高い投資手法です。
土地を見た瞬間に、どの程度の面積の建物が建つかどうかを判断するスキルが求められます。
つまり、建築士に頼む以前に、自分である程度の建築プランが作れる知識が必要になります。
また、仮に建築プランが作れたとしても、それを元に家賃収入や建築費を見積もる必要があります。
初心者の方がいきなりこのレベルに到達するのはハードルが高いと言わざるを得ません。
また、土地から新築する投資手法は、金融機関の融資審査も厳しくなります。
建物が完成した段階で融資するのであれば、金融機関は土地と建物の両方を担保に取ることができますが、『土地から新築手法』の場合は、担保に取れるのは土地だけです。
建物が竣工するまでに支払う工事中間金についても融資を出してくれますが、その間、金融機関は無担保で融資をする必要があります。
そのため、土地から新築の場合は、金融機関は実績のある投資家でないと融資をしない傾向にあります。
また、最近では新築アパートでも空室が埋まりにくくなっています。
理由は最近の不動産投資ブームによって新築アパートの供給が急激に増えたからです。
つまり、需要よりも供給のほうが多くなったために、空室が埋まらなくなっています。
立地の良い都市部ではまだ入居率は堅調ですが、少し郊外にいくと竣工後半年たっても空室だらけという新築アパートも珍しくありません。
そのため、地銀や信用金庫は郊外にある新築アパートへの融資をほとんど断っているようです。
今、始めるべき投資手法の特徴
では融資が厳しい今、どのような投資手法が最適なのでしょうか?
成功している有名大家さん3名に聞いたところ、3名とも次の特徴をあげていました。
規模が小さな物件から始める
今までは、物件価格が上がり基調だったため、売却する時に購入時の価格以上の値段で売れることも珍しくありませんでした。
そのため、万が一賃貸経営に失敗しても、売却すれば損失をカバーできることがほとんどでした。
ところが、現在、融資が厳しくなり、物件価格も徐々に下がり始めました。
そのため、物件を売却しようとしても、購入した値段よりも安い値段でしか売却できないことが増えました。
このような状況下では規模の大きな物件を購入して賃貸経営に失敗してしまうと、大きな損失を被るリスクがあります。
そのため、最初は規模の小さな物件から始めて、徐々に賃貸経営に慣れていくほうが安全です。
また、規模が小さな物件であれば、現金を多く入れて購入することもできるため、それだけキャッシュフローが大きくなります。
つまり、賃貸経営が安定する可能性が高いです。
中古物件で、不動産賃貸業の経験を積む
これから人口が減る日本において賃貸経営は厳しさを増していきます。
つまり、しっかりとしたノウハウや知識を持った不動産投資家にならないと、生き延びていくことは難しくなります。
そのため、最初の頃は様々な経験値が積める中古物件を購入すると良いと思います。
新築の建売アパートや区分マンションを購入しても、賃貸経営のノウハウはあまり身につきません。
新築は設備が最新であるため、不動産投資家の工夫の余地がほとんどないからです。
できることは募集家賃を下げることくらいです。
一方で中古物件には不動産投資家の工夫できる余地が沢山あります。
原状回復工事の際にアクセントクロスを使ったり、インターネット無料を導入したりして自分自身で物件をバリューアップすることが可能です。
このように自分なりの工夫を行うことで大家としての力量を増やしていくことができます。
新築物件は確かに楽ですけど、その反面なんのノウハウも身につきませんからね。
また、これからの金融機関は不動産投資家としての実績や経験を重視します。
実績や経験が豊富な投資家であることを金融機関に認められれば、融資をしてくれる可能性が高くなります。
中古物件を購入して、自分なりに工夫して空室を埋める経験を積んでいけば、金融機関からの評価も高くなります。
今、オススメの投資手法
これらの特徴を踏まえると、次の2つの投資手法が適していると言えます。
- 築古戸建
- 中古区分マンション
それぞれ、特徴を見ていきましょう。
築古戸建
この投資手法は、築20年以上たっているような古い木造戸建を格安で購入して、リフォーム後に賃貸に出すやり方です。
都内23区だと築古でも数千万円してしまいますので、多くの方が千葉、埼玉、神奈川の郊外エリアで物件を200-500万円くらいで取得しています。
築古戸建てのメリット
1つ目のメリットとしては、物件そのものが安いので現金で購入することも可能な点です。
戸建投資を専門にしている先輩投資家さんの多くは200-300万円くらいの値段で仕入れています。
築古戸建そのものは現金で購入し、リフォーム費用を日本政策金融公庫(公庫)で借りる方が多いです。
少額なリフォーム費用なら公庫のマル経融資制度を使うことで簡単に融資を受けることができます。
ちなみにマル経融資とは、日本政策金融公庫が提供している小規模事業者(賃貸経営者を含む)が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です。
資金の使いみち | 運転資金、設備資金 |
---|---|
融資限度額 | 2,000万円 |
返済期間 | 10年間(設備資金の場合) |
利息 | 1-2%程度 |
保証人・担保 | 不要 |
2つ目のメリットとしては、戸建賃貸は、入居付けが比較的簡単な点です。
スーモのような賃貸ポータルサイトを検索してみるとわかりますが、アパートやマンションに比べて戸建賃貸物件の数は少ないです。
つまり希少性が高く、競争力があります。
そのため、アパートやマンションといった集合住宅に比べて入居付けが簡単です。
3つ目のメリットとしては、利回りが高い点です。
例えば200万円で仕入れた戸建を毎月5万円で貸し出すことができれば、表面利回りは30%にもなります。
実際には、購入後にリフォームが必要なケースがほとんどですが、リフォームに200万円かけたとしても利回りは15%です。
築古戸建のデメリット
1つ目のデメリットとしては、大規模なリフォーム工事が必要なことです。
格安な戸建ほど、基本的には物件が傷んでいます。
僕の経験上、ボロボロの戸建を大手のリフォーム業者に依頼して再生すると、少なくとも500万円以上はかかります。
- 屋根・外壁塗装
- バス、トイレ、キッチンといった水回り総入れ替え
- 畳・フローリングの張替え
- クロスの張り替え
そこまで費用をかけると実質利回りが低下してしまいますので、一部を自分でDIYするか、安い職人さんを探す必要があります。
または、多額のリフォーム費用がかかる水回り部分には手を入れる必要のない物件を探しましょう。
僕の経験上、リフォーム費用が総額で200万円に収まるというのが儲かる物件の基準になります。
築古戸建投資については以下の記事でも詳しく解説しています。
2つ目のデメリットとしては、戸建購入時に融資が出にくいということです。
築古戸建に融資をしてくれるのは、日本政策金融公庫のみとなります。
この公庫が最近、不動産投資向けの融資を絞ってしまいました。
そのため、築古の戸建を買う際には、基本的に自分の現金で購入する必要があります。
そして、現金で買った戸建を担保に入れて、リフォーム資金を公庫から融資してもらう形になります。
つまり、築古戸建投資を始めるためには、200-300万円の手元資金が必要になります。
中古区分マンション
この投資手法は、築10-20年くらいたって、価格に値ごろ感の出てきた中古区分マンションを購入して、賃貸に出すやり方です。
築古戸建と違って、基本的に中古区分マンションは賃貸中の物件をオーナーチェンジという形で購入することになるので、購入時に大きなリフォームは必要ありません。
エリアとしては、都内23区のような賃貸ニーズの高いエリアのマンションが対象となります。
中古区分マンションのメリット
1つ目のメリットとしては、立地の良い場所の物件を、比較的小さな金額で購入できる点です。
都内23区の駅近マンションを一棟買おうとすると数億円もの資金が必要になります。
一方で、中古区分マンションであれば、数百万円~2,000万円くらいの間で購入することが可能です。
また、販売会社の広告費や利益が上乗せされている新築と違って、割安な価格で購入できます。
2つ目のメリットは金融機関の融資が使えることです。
一棟モノに対する融資は厳しいですが、幸いに区分マンションにはまだまだ積極的に融資を出している金融機関があります。
一番積極的で、金利も低いのはオリックス銀行ですね。
金利は1.9%~2.3%の間です。
融資期間についても、築浅の区分マンションであれば最長で45年まで引き伸ばしてくれます。
更にオリックス銀行は区分マンションに対してフルローンを出しています。
登記費用や融資手数料といった諸費用分(物件価格の約6%)の現金が用意できれば、物件価格と同額の融資をしてくれます。
不動産投資初心者であるサラリーマン投資家に対しても積極的に融資を行っています。
ただ、フルローンで購入してしまうと毎月のキャッシュフローが少なくなるため、初心者の方は1割ほど現金を入れて余裕を持った状態で賃貸経営することをオススメします。
オリックス銀行以外だと、ジャックスも区分マンションへの融資に積極的ですね。
このオリックス銀行やジャックスは基本的に都市部の区分マンションにしか融資しません。
都市部の区分マンションは立地が良い場所にあるため、急に賃貸需要がなくなって空室が続くというリスクが少ないのが理由のようです。
またオリックス銀行もジャックスも基本的に年収500万円以上の高属性会社員だけを融資対象としています。
給与水準が高い会社員であれば多少空室が続いても、自分の給料から返済を行うことが可能です。
このように、オリックス銀行やジャックスは貸し手のリスクを限定的にすることによって、不動産投資の融資を拡大しているのだと思います。
3つ目のメリットは、売却がしやすいということ。
区分マンションは規模が小さく、購入希望の投資家が多いため、流動性に優れています。
また、最近では単身者の方が自分が住むように区分マンションを購入するケースも増えています。
25㎡以上の広さの区分マンションであれば、住宅ローンを組むこともできますしね。
そのため、区分マンションは投資家と実需層の両方に売却することができます。
中古区分マンションのデメリット
1つ目のデメリットとして、他の一棟アパート・マンションや築古戸建に比べると利回りが低くなります。
都内23区の立地の良い築10年程度の中古区分マンションだと、最近多少価格が下がってきたとはいいつつも、平均利回りは6-7%程度です。
2つ目のデメリットとしては、管理費・修繕積立金が必要になることです。
一棟ものや戸建だと、全て自分の所有物になるため、この種の費用は必要ありません。
一方で区分マンションは、管理組合に対して毎月管理費・修繕積立金を納めないといけません。
ただ、その代りに建物の清掃・見回りは不要ですし、大規模修繕も自動的に管理組合が行ってくれます。
手間をお金で買っているという感じでしょうか。
手間がかからない分、ある意味仕方ないですね。
まとめ
不動産投資向けの融資が厳しい今、初心者が取るべき戦略は次の2つとなります。
- 小規模な物件(築古戸建、中古区分マンション)をある程度現金を入れて購入する
- 儲けよりも、賃貸経営の実績を積むことを優先する
融資が引き締まり、物件の価格は下落傾向にあります。
この状況では、過度なリスクを取るのは望ましくありません。
それよりも、小ぶりな物件を購入して、コツコツと不動産投資の実績と経験を積むことを優先したほうがよいと思います。
そして、小さいながらも賃貸経営の実績を重ねることで、金融機関の評価が上がり、より規模の大きい物件を買うことができるようになります。
無理のない範囲で、第一歩を踏み出してみる。
それが将来への成功につながると思います。
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ただ、初心者の方にとって賃貸経営において必要な運営経費を漏れなく計上するのはハードルが高いです。
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