東京のワンルームアパート・マンションは空室がドンドン増えています。
僕は都内で不動産投資を行っていますが、正直空室がなかなか埋まらずに苦戦しています。
今までは退去後2週間もあれば次の入居者が決まっていました。
それなのに7月に空いた山手線駅徒歩10分のワンルームは2ヶ月以上空室が続いています。
危機感を感じて家賃も2,000円下げたのですが、動きは鈍いですね。
コロナで東京のワンルーム賃貸需要が打撃を受けていることを実感しております。
一方で2人入居できる広めの間取りはそんなにコロナの影響を受けていません。
同じ都内(品川区)にある30㎡の1DKは退去後2週間も経たないうちに次の入居者が見つかりました。
家賃も下げていません。
こちらの1DKはいつものスピード感で賃貸が埋まっている感じです。
僕の個人的な感覚では東京のワンルーム賃貸だけが一人負けの状態です。
そこで、今回はなぜ東京のワンルーム賃貸需要が減少しているのかを深く分析してみました。
最新の統計資料を確認しながら、仲介業者や大家仲間からのヒアリング内容も踏まえて僕なりの見解を述べたいと思います。
- 東京で不動産投資を行っている、またはこれから参入したいと考えている方
- 東京の賃貸市場の最新トレンドを知りたい方
- 今後、東京の賃貸市場がどのように変化するか知りたい方
最新の賃貸市場トレンド
まず東京の募集家賃のトレンドを確認してみます。
出典:アットホーム株式会社
30㎡以下のワンルームタイプはコロナが始まってから家賃が明らかに下落していますね。
これは僕の肌感覚とも合っています。
また、知り合いの仲介会社にヒアリングをした限りでは、どこもワンルーム賃貸物件の在庫が積み上がっており、賃貸付けに苦労しているようです。
一方で70㎡以上あるファミリータイプの家賃はコロナ前に比べて上昇しています。
最近はやや弱含みではありますが、それでもコロナ前よりも高い水準であることは間違いありません。
これは仲介会社も同じことを言っています。
単身向け物件は需要が減っているため在庫が増えている一方で、ファミリー物件の人気は凄まじく、空室が出れば速攻入居者が見つかるようです。
これは身軽な単身者は東京を離れる傾向にあるのですが、家族を抱えているファミリー層は簡単に東京を離れるわけにはいかず相変わらず東京への居住ニーズが高いからです。
次は東京近郊の神奈川、千葉、埼玉の家賃トレンドを見てみたいと思います。
実は神奈川、千葉、埼玉は東京23区と逆の家賃トレンドを示しています。
代表例として神奈川の家賃トレンドを紹介します。
東京23区と真逆で、30㎡以下のワンルーム家賃はコロナ以降も微増しています。
東京から単身者が近隣の神奈川、千葉、埼玉に流出しているのが原因と言われています。
コロナが始まった当初は東京から地方への移住が促進されるのではないかと言われていましたが、実際は東京からまったく離れた地方への移住はほとんどなく、都心から電車で通勤できる範囲内の神奈川、千葉、埼玉への転出がほとんどです。
単身者も東京から神奈川、千葉、埼玉へ転出した結果、供給過多と言われているワンルーム物件でも家賃が微増しています。
東京の大家である僕には羨ましい限りです。
次に70㎡以上のファミリータイプを見てみると、ワンルーム以上に家賃が上昇していることがわかります。
特に神奈川、埼玉では平均募集家賃が2015年1月以降最高値を更新しました。
確かに僕の周りでも最近家を買った知り合いは神奈川で家を買っている人が多いです。
元々は都内の城南地区(品川区、大田区)に住んでいたのだけど、都内の不動産価格の上昇についていけず、神奈川エリアで家探しをしたといいます。
僕の知り合いは都内の大企業に勤めている人が多いので、今もテレワーク継続中です。
そのため、職場の近くに住む必要性が薄れているようですね。
また、僕の知り合いはまだ子供が幼稚園や小学校に通っている世代なので、子供の学区を変えるハードルがあまり高くないのも他地域への移住を促進していると思います。
東京から近隣県への転出トレンド
次に東京の転入超過数を見てみましょう。
緑色の棒グラフが東京都の転入超過数です。
大学の新入生や新社会人が一斉に東京に流入する3月・4月を除けば、ここ最近はずっと東京が転入超過数がマイナス(=転出超過)ということがわかります。
つまり東京に入ってくる人数より出ていく人数の方が多いことになります。
一方で、それと真逆のトレンドを描いているのが埼玉・千葉・神奈川です。
コロナが始まって以来、埼玉・千葉・神奈川はずーっと転入超過です。
つまり東京を出ていった人たちは近隣の埼玉・千葉・神奈川に移り住んでいることがわかります。
コロナが始まってテレワークやオンライン授業が普及すれば東京を離れて、遠くの地方へ移住する人が増えると言われていましたが、実際は近隣県に移り住む人のほうが圧倒的に多いです。
これはテレワークやオンライン授業を取り入れた企業や大学が多いといっても、完全にオンラインに切り替えた企業は少数派だからです。
普段はオンラインなんだけれども、必要に応じて出社やキャンパスに行く必要があるという人が大半です。
そのため、企業や大学がある都心に電車でギリギリ通える範囲内で引っ越しを検討する人が多いのだと思われます。
東京でワンルームの空室が増えている理由
次に東京でワンルームの空室が増えている理由を考えてみたいと思います。
ワンルームは供給過剰
東京では新築RC投資が一大ブームとなっています。
新築RCの建売業者も多いですし、最近では土地から新築RCを建てる方法を教える塾も増えてきました。
代表例は塩田塾や堀塾ですね。
東京で新築RC投資の間取りはほとんどワンルームです。
ワンルームの方が利回りが高くなるからです。
その結果、ワンルームの供給はどんどんと増え続けています。
東京のワンルーム賃貸ニーズは確実に減っているんですけどね。
都内で新築RC投資をしようとする高属性の投資家は、そんなことお構いなしにバンバン新築を建てています。
ちなみに前述の塾が抱えている工務店は既にキャパオーバーで新規受注がストップしているほど景気が良いようです。
このように東京からの転出者が多いにも関わらず新築の供給が止まらない結果、竣工しても空室が1年近くも埋まらない新築RCが続出しています。
おかげで入居者募集のために仲介会社に支払う広告料(AD)の相場が高騰しています。
今ではAD3ヶ月、4ヶ月も当たり前の世界です。
高額なADはためらわずに支払いますが、このような新築RC投資家は絶対に家賃を下げません。
新築RC投資家の大多数は短期転売狙いです。長期保有を考えている人は少ないです。
イメージとしては1.5億円で新築して、2億円で資産家に売却する感じです。
一気に5,000万円の売却益が手に入りますから、長期保有してコツコツ稼ぐよりも効率が良いですね。
気が早い投資家になると建築中の建物の隣に看板を設置して、自分の携帯番号を記載しておきます。
そして、実際に買取業者が買付を入れてきて、建物竣工する前に売却してしまう強者もいます。
このような短期転売狙いの投資家にとって売却価格が全てです。
もし家賃を下げることになると、利回りも下がることになります。
つまり売却価格が下がります。そのため、このような投資家は意地でも家賃を下げません。
その結果、AD合戦が繰り広げられているわけです。
ただ、賃貸仲介業者に聞くと、いくら高額なADを積まれても相場よりも明らかに高い家賃では借り手がつかないため、竣工して1年間も空室がある物件は珍しくないようです。
このように東京ではワンルームマンションの供給過多の状態が続いており、入居者募集はますます厳しくなっています。
テレワークで狭小・木造アパートが大苦戦
マンション以上に入居者募集が苦しいのが都内の狭小・木造アパートです。
コロナを機会に自宅でテレワークやオンライン授業を行う人が増えました。
自宅でテレワークやオンライン授業を行うためには次の2つの環境が必要となります。
1つ目は作業机をおけるスペース。
2つ目は会議していても隣の人に声が漏れない遮音性です。
残念ながら狭小木造ワンルームはこのどちらも満たさない場合が多いです。
そのため、今都内では狭小木造ワンルームの入居付けが大苦戦中です。
木造でも1DKのように二部屋あれば入居ニーズは高いのですが、狭いワンルームで木造となるとテレワークやオンライン授業を行う人は避けてしまいます。
僕自身も山手線駅に15㎡ほどのロフト付き狭小木造ワンルームアパートを所有していますが、入居付けに時間がかかっています。
コロナが収束すれば徐々に人は東京に戻ってくる
このような状況を鑑みると、東京の不動産賃貸事業はお先真っ暗なように見えます。
ただ、僕はそれでも東京の不動産賃貸業には明るい未来が待っていると考えています。
2021年の7月、8月はコロナの国内感染者数が過去最高を更新しました。
テレワークやオンライン授業を継続する企業や大学も多かったし、休業している飲食店も沢山ありました。
仕事もできないし、遊ぶところもない東京から人が流出するのも当然ですね。
ただ、幸いにも9月に入ってコロナ感染者数が急激に減少してきました。
緊急事態宣言も終了する見込みです。
徐々に潮目が変わり始めると考えています。
ワクチン接種が進んでいる欧米では既にテレワークを解除してオフィス勤務に戻す企業も増えてきました。
例えばゴールドマン・サックスやJPモルガンといった外資系金融大手はほとんどの企業がテレワークを辞めて完全オフィス勤務に切り替えました。
IT企業のグーグルやアップルも基本的にオフィス勤務とテレワークを組み合わせたハイブリッドモデルを採用することを表明しています。
やはり信頼関係の構築や、新しいアイディアの発案などにおいては、対面でのコミュニケーションの方がふさわしいということなのでしょう。
大学も徐々にオンライン授業から対面授業へ戻すところが増えてきています。
既に慶応、早稲田、青学といった有名大学が2021年後期から徐々に対面授業の割合を増やしていくことを表明しています。追随する大学も増えてくるでしょう。
また、緊急事態宣言が終われば飲食店に人が戻ってきます。
東京生活の楽しみの一つは豊富な飲食店の種類と数です。
今後ワクチンの接種が進み、どうどうとお酒が飲めるようになれば東京でのナイトライフも再びかつての魅力を取り戻すはずです。
このように考えるとコロナが収束すれば、東京に人々は戻ってくると考えられます。
ただし、以前のように狭い部屋でも良いからとにかく東京に住めれば良いという人は減るでしょう。
テレワークやオンライン授業は今後も活用されるでしょうから、最低限自宅に作業机を置くスペースは必要になります。
そう考えると狭小ワンルームのニーズは大きく回復しない可能性が高いと思います。
幸い、いまだに東京の不動産価格は高値を維持したままです。
狭小ワンルームの賃貸運営は今後も厳しいと考えるのであれば、今のうちに売却して、より広い間取りの物件に資産を組み替える方法も有効だと思います。
いずれにせよ東京の賃貸需要が復活するかどうかはコロナの収束にかかっています。
東京の大家の一人として、一刻も早くコロナが収束し、人々が東京に戻ってきてくれるのを祈っています。
自分の物件がいくらで売れるか把握してますか?
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自分の収益物件や自宅がおおよそどの程度の価格が付くのか分からないと、住宅ローン返済や住み替えなど計画が立てられません。
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- まず複数の会社に査定依頼して「比較」をすること。
- 大手不動産会社に査定依頼すること。
まず、査定依頼は必ず複数の不動産会社に出しましょう。
不動産会社によって査定価格にバラツキがあることも多いです。
僕が収益不動産の売却査定した時には、6,000万円~7,000万円の間で1,000万円も査定価格に差が出ました。
なので、それを並べて比較することで相場感が見えてきます。
最低でも4社以上には査定してもらいましょう。
そして、高く売却するならば、大手不動産会社に査定依頼することが大切です。
それは買い手の心理を考えるとわかります。
初心者の方が不動産を購入しようとしたら、まずは安心の大手不動産会社に行きますよね。
そして、不動産を一番高値で買ってくれるのは、このような初心者の方なので、結果として大手不動産会社に売却依頼したほうが高値で売れるのです。
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