こんにちはJOJOです!
スマートデイズが運営するシェアハウス「かぼちゃの馬車」が資金繰り困難を理由にサブリースの支払いを急遽差止めしました。
かぼちゃの馬車に関する楽待さんの記事はこちら
オーナーからは、「騙された」とか、「スマートデイズは補償すべき」という声が上がっていますね。
確かに、サブリースしていたオーナーの皆様の心中を察するに、本当に気の毒だと思います。
スマートデイズには、全額は無理だとしても、今後はできるだけ真摯な対応を望みたいですね。
ただ、このオーナーの具体的な収支計算を聞くと、「多かれ早かれ破綻するの最初から分かってたんじゃね?」と思えます。
かぼちゃの馬車オーナーの収支状況
楽待さんの記事によれば、サブリースオーナーの購入条件は以下の通り。
- 借入2.1億円(全額フルローン)
- 金利3.5%(諸費用分の1,000万円は金利7.5%)
- 保証賃料(サブリース収入):月122万円
- 管理費:月9万円(保証賃料の7%)
- 手取り収入(保証賃料ー管理費):113万円
- 金融機関への支払い:月100万円
- 毎月のキャッシュフロー:13万円
- サブリース保証賃料は5年ごとに見直し
まず、すでに大家経験のある僕からすると、借金が2億円もあるのに、毎月のキャッシュフローが13万円って時点でヤバイです。
スマートデイズの管理費の中に、原状回復費や客付け費用がどの程度含まれているのか不明ですが、仮に全額入っていたとしましょう。
それでも、毎月のキャッシュ・フローからは少なくとも固定資産税は支払わないといけません。
都内2億円の物件ですから、どんなに低く見積もっても固定資産税だけで毎年50万円は必要になると思います。
すると、年間の収支は
年間キャッシュフロー合計156万円ー50万円=106万円
となります。
つまり、年間106万円しか手元に残らないわけです。
サブリース保証賃料は下がるのが当たり前
サブリース契約そのものは30年ですが、サブリース賃料は5年毎に見直しがかかることが契約に明記してあるそうです。
となると、契約してから5年間は毎年106万円が手元に入ってくるのですが、5年後の契約更新のタイミングで確実にサブリース保証賃料は下がります。
なぜならば、どんなピカピカの新築物件でも5年も経つと経年劣化で物件の価値が下がり、募集家賃が下がるからです。
特にかぼちゃの馬車は新築の綺麗なシェアハウスに住めることを理由に入居者の若い女性を集めていたようなので、新築ではなくなった場合に募集賃料は大きく下げざるをえないでしょう。
また、かぼちゃの馬車の物件は都内とは言え、足立区等の少し家賃が安めのエリアで、かつ駅から15分くらい離れた場所の物件が多いようです。
その分、家賃の下落率は大きいでしょう。
僕の経験からすると、最低でも10%は賃料を下げないと新規募集は厳しいと思います。
アパート経営をしたことの無い方からすると、新築から5年経ったくらいで家賃10%も下がるのか?と思うかも知れませんが、普通です。
新築から5年後というのは一番家賃が下がる時期なのです。
詳しく言うと、築5年の物件が築10年になる時には10%も下がりませんが(だいたい5%くらい)、新築から5年後にかけては10%くらい平気で家賃が下がります。
というか、下げないと新しい入居者さんを見つけるのにとても苦労します。
なぜかというと、新築時には新築プレミアムといって思いっきり家賃を高めに設定して募集できるからです。
特に日本人には新築好きが多いので、新築と築2年の物件では家賃5%くらい違います。
なので、かぼちゃの馬車の話に戻ると、5年経った後のサブリース保証家賃は確実に10%は下がるわけです。
5年後の収支は
では、5年後の収支を予測してみましょう。
- 保証賃料(サブリース収入):月110万円(10%下落前提)
- 管理費:月8万円(保証賃料の7%)
- 手取り収入(保証賃料ー管理費):102万円
- 金融機関への支払い:月100万円
- 毎月のキャッシュフロー:2万円
金融機関への支払い金額は基本的に変わりませんから、収入が減った分だけ、キャッシュフローも減ります。
毎月のキャッシュフロー2万円。
あれ、まだプラスだから、いけるじゃん!と思った方。
固定資産税の支払いを忘れてませんか?
そう、年間の固定資産税は50万円はかかるのです。
すると、年間収入は24万円なので、固定資産税が支払えません。
つまり、年間のキャッシュフローはマイナス26万円!
つまり、スマートデイズが急遽サブリース支払いを停止しなくても、5年後にはこのオーナーさんはマイナスのキャッシュフロー(持ち出し)になってしまうのです。
もうこの時点で投資失敗確定ですよね。
なので、不動産投資経験のある方からすると、そもそも最初から経営できる収支になっていないことがすぐに分かります。
そのため、やっぱりこのような収支計算のロジックに気が付かずにこの物件を購入してしまったオーナーの方は不勉強だったと言わざるを得ないです。
残念ながら損切りもできない
じゃあ、5年経った時点で売却すれば良いじゃないかと思う方もいるかもしれません。
でも、かぼちゃの馬車の建築費と土地代は市場価格の2倍くらいの高値で投資家に販売されていたようです。
特に、かぼちゃの馬車は、共用リビングが無い仕様になっているので、一般的なシェアハウスに比べて条件が悪いです。
そのため、もし市場で物件を売却しようとしても良くて買値の80%。おそらくは50-60%くらいでしか売却できないのではないでしょうか。
また、かぼちゃの馬車はほとんどがフルローンです。
借入条件は金利3.5%で30年間。
2億円を新築から5年間返済し続けたとしても、元本は1.79億円残っています。
仮に5年後に新築購入価格の80%で売れたとしても1.6億円。借金残額である1.79億円を下回ります。
つまり、銀行の抵当権が外れないので売りたくても売れないわけです。
となると、赤字の物件を抱え続けるしかありません。
そのため、持ち続けようが、売却しようがこの物件の投資自体が失敗することが最初から分かっているのです。
結局の問題は高値づかみをしてしまったこと
このように、かぼちゃの馬車の最大の問題点は、長期的に収支が成り立たない物件を販売し、投資家もそれに気が付かずに購入してしまっていたことでしょう。
たまたまスマートデイズは早期に支払いが厳しくなって、オーナーさん達は人よりも早くこの不都合な事実に気がつくことができました。
でも、かぼちゃの馬車のオーナーさん以外にも、昨今の不動産価格高騰の中で、長期的に収支が成り立たない物件を高値で購入してしまった方は大勢いると思うのです。
そして、それらの方の問題はこれから徐々に明らかになってくるのだと思うのです。
そう考えると、この問題は、スマートデイズだけの問題と言うよりは、加熱した不動産投資全体の問題として捉えるべきなのではないかと思います。
以上、これから不動産投資を始める方の参考になれば幸いです。
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