政府が副業や投資を推奨してから不動産投資に興味を示す会社員の方が増えています。
特に僕のセミナーに来て熱心に質問いただくのは30代前半~中盤の方が多い気がします。
僕も30代前半で不動産投資を始めましたが、この年代はそろそろ将来のことを真剣に考える頃なんですよね。
20代まではガムシャラに目の前の仕事をこなすだけで精一杯です。
ただ、30代になると社会人の経験値もそれなりに積んできて、中期的な視点で物事を捉えることができるようになります。
そうなると将来のことを考えるようになります。
『あと何年この会社にいるんだろうか?』
『10年後には家族を養うだけの年収が確保できているのだろうか?』
今の時代、大企業に勤めていても10年後の職が約束されているわけではありません。
実際に企業の平均寿命は年々短くなってきているようです。
1980年代には企業の平均寿命は30年と言われていましたが、東京商工リサーチの調査によれば、2018年に倒産した企業の平均寿命は23.9年。
約6年も短くなっています。
企業の平均寿命が短くなっている大きな理由は、ITによるイノベーションが企業の淘汰・再編を加速させているからです。
例えば、スマホの普及によってデジタルカメラが売れなくなったのは分かりやすい例ですね。
過去にデジタルカメラで一斉を風靡(ふうび)したニコンやキヤノンといった大企業が苦況に立たされています。
こう考えると、一生同じ会社で右肩上がりの給料がもらえるのはもはや夢物語ですね。
自分の将来に不安を感じ始める30代の方も多いのではないでしょうか?
少なくとも僕は30代前半で今のまま会社員を続けることに限界を感じたために、不動産投資をはじめました。
実際に30代から不動産投資に関心を持たれる方が大勢います。
大企業にお勤めの30代の方であれば、平均年収は600万円程度だと思います。
今回は、年収600万円の会社員が不動産投資を始めるための最適な投資手法を紹介したいと思います。
- 年収が600万円ある会社員にオススメの不動産投資手法を知りたい方
- 区分マンション投資でコツコツ資産を増やすやり方を知りたい方
投資手法
年収600万円の会社員が不動産投資を始める方法は次の2つあります。
- 大都市の中古区分マンション
- 郊外の築古戸建
年収600万円の会社員の多くは管理職か管理職一歩手前の係長クラスのポジションであることが多いです。
つまり、会社員としての業務領域も責任も増えてくる立場です。
また、30代になれば結婚して、子供を持つ方も増えてくるでしょう。
仕事も忙しいし、一方で家族との時間も確保しなければいけない状況だと思います。
そのため、年収600万円の会社員の方にとって不動産投資に避ける時間は限られていることでしょう。
築古戸建投資は収入が少ない方でも実施可能な投資手法です。
そのため、もちろん年収600万円の方でも実現可能です。
ただ、郊外にある戸建に何回も足を運び、DIYを駆使しながらリフォームするのはかなりの時間と労力が必要です。
年収600万円稼ぐ会社員の多くは東京や大阪といった大都会に勤務していることが多く、住んでいるところも都市部です。
一方で築古戸建は郊外にありますから、物件を視察に行くだけでも土日が丸一日潰れます。
そう考えると、仕事と家庭に時間が取られる年収600万円の会社員にとっては、できるだけ手間のかからない投資手法のほうが向いていることになります。
その意味では、東京(もしくは大阪のような大都市)の中古区分マンション投資は最適です。
東京の中古区分マンションであれば職場や住まいに近いため、手軽に物件を見に行くことができます。
仕事帰りに気になる物件を視察するなんてことも可能です。
しかも、築古戸建と違って、中古区分マンションには大掛かりなリフォームは必要ありません。
建物の外壁塗装のような大規模修繕はマンションの管理組合が行ってくれるため、部屋の中だけ綺麗にリフォームすればOKです。
築10~15年くらいの比較的築年数が浅い物件を選べば、クロスやクッションフロアの張替えといった簡単なリフォームだけで貸し出すことができます。
また東京の区分マンションは入居付も比較的簡単です。
3月の繁忙期に賃貸ニーズが集中する地方や郊外と違って、東京や大阪のような大都市では一年中賃貸ニーズがあります。
そのため、物件を清潔にリフォームして、相場並みの家賃設定にすれば、時期に関わらず入居者を見つけることが可能です。
運営に手間がかからない意味でも、時間のない会社員にとって中古区分マンション投資は適していると言えます。
そのため、ここでは東京の中古区分マンション投資手法について詳しく見ていくことにします。
融資戦略
東京の中古区分マンションは築古の安いものでも1,000万円以上します。
家賃と修繕費のバランスが良い築10~15年の中古区分だと1,500万円~2,000万円程度します。
年収600万円の方は現金で購入することは難しいと思いますので、金融機関から融資を受けることになります。
スルガ銀行の不正融資問題以降、金融機関による不動産投資向けの融資はかなり絞られています。
ただ、幸いなことに区分マンション投資に関しては、まだまだ積極的な金融機関が複数存在します。
区分マンション投資に積極的な金融機関
- オリックス銀行
- イオン銀行
- ソニー銀行
- セゾンファンデックス
- ジャックス
数ある不動産投資手法の中でも中古区分マンション投資はミドルリスク・ミドルリターンです。
一棟アパートやマンションに比べると物件あたりの収入は少なくなりますが、その分物件の規模が小さいので借入も少なくなります。
また、中古区分マンションを購入するほとんどの方は年収600万円程度の会社員です。
毎月安定した給与収入を得ているため、一時的にリフォーム費用が必要になったとしても給料から補填することが可能です。
そのため、会社員向けの中古区分マンション投資は金融機関にとってリスクが小さく、融資を出しやすいのです。
具体的な借入条件
次に代表的な2銀行における具体的な借入条件を見ていきたいと思います。
オリックス銀行
最長借り入れ年数 | 45年 |
---|---|
金利 | 変動1.8%(長期プライムレート連動) |
必要な初期費用 | 最低10万円 |
融資審査 | ゆるい |
オリックス銀行はノンバンク時代から区分マンション投資への融資を行っており、融資実績はダントツ1位です。
過去の豊富なデータを持っているため、高い精度で将来安定して返済できる物件かどうかを見極めることが可能です。
そのため、オリックス銀行は他の金融機関に比べるとリスク許容度が高いです。
つまり、融資を通してくれる可能性が高いと言えます。
オリックス銀行ではほぼフルローンを組むことも可能です(頭金として10万円のみ必要)。
また、借入年数も最大45年と非常に長く取ってくれるため、キャッシュフローも大きくなります。
そのため、投資初心者にとって非常に使い勝手の良い金融機関です。
イオン銀行
最長借り入れ年数 | 35年 |
---|---|
金利 | 変動1.65%(短期プライムレート連動) |
必要な初期費用 | 最低70万円 |
融資審査 | 少し厳しい |
イオン銀行が収益不動産への融資を手掛けるようになったのはわりと最近です。
そのため、まだ融資実績が少ないため、オリックス銀行に比べると審査は厳し目です。
頭金も最低70万円以上必要になります。
初心者の場合は物件価格の1割程度の現金を用意する必要があります。
ただ、その分、金利が1.65%と低いです。
具体的な投資事例
それでは年収600万円の方の具体的な投資事例を見てみましょう。
収益不動産ポータルサイトから次のモデル物件を見つけてきました。
価格 | 1,400万円 |
---|---|
所在地 | 東京都品川区 JR横須賀線 西大井駅 徒歩7分 |
構造 | 鉄筋コンクリート(RC)造の1K 区分マンション |
専有面積 | 21㎡ |
築年数 | 築18年 |
利回り | 6.5% |
家賃(月収) | 7.6万円 |
満室時年収 | 91万円 |
管理費/修繕積立 | 0.6万円 / 0.4万円 |
次に、融資条件を考えます。
ここでは、区分マンション向けの融資を積極的に手がけているオリックス銀行を使うことにします。
まず融資期間を算定します。
基本的に融資期間=建物の残存耐用年数となります。
RC(鉄筋コンクリート)造で築18年ですから、残存耐用年数は29年(47 - 18 = 29)となります。
つまり融資期間は29年となります。
ただし、オリックス銀行の場合は、独自の融資期間を設定しています。
55年 - 築年数18年 = 37年
そのため、この物件の場合は融資期間は最大で37年取れることになります。
ここでは物件価格の1割と諸費用(物件価格の5%)分の自己資金(現金)を投入することにします。
オリックス銀行はフルローンが可能なのですが、フルローンだとキャッシュフローに余裕がなくなってしまいます。
そのため、最低物件価格の1割以上の頭金をいれることを推奨しています。
融資条件は次になります。
自己資金 | 210万円(物件価格の1割+諸費用) |
---|---|
融資金額 | 1,260万円(物件価格の9割) |
融資期間 | 37年 |
金利 | 1.85% |
年間のキャッシュフローは次の通りとなります。
家賃収入 | 91万円 |
---|---|
借入金返済 | ▲47万円 |
管理費・修繕積立金(マンション管理組合用) | ▲12万円 |
管理費(賃貸管理を委託する不動産会社用) | ▲1.8万円(管理費は家賃の2%) |
退去時の原状回復費用 | ▲2.5万円(1部屋あたり10万円。4年に一回退去前提) |
固都税 | ▲3万円 |
年間キャッシュフロー | 25万円 |
月額キャッシュフロー | 2.1万円 |
固定資産税と原状回復費用を支払っても毎月のキャッシュフローが2.1万円のプラスになりました。
月額家賃7.6万円に対して、手残りが2.1万円ですので、よほどのことがない限り安定した賃貸経営ができるでしょう。
拡大戦略
その後の拡大戦略は2つに分かれます。
- 中古区分マンションを買い増していく
- 一棟アパート投資へステップアップする
大きなリスクを取らずに着実に資産を増やしていきたい方は、引き続き中古区分マンションを買い増していくのがベターです。
会社員の給料からの貯金と物件からのキャッシュフローを合わせれば頭金が貯めるスピードも早くなるでしょう。
1年に一部屋ずつ買い増していけば、5年で5部屋のオーナーになれます。
キャッシュフローは月額10万円を超えるでしょう。
そしてある程度の規模にまで達したら、キャッシュフローを繰り上げ返済に充てて借金を減らしていきます。
家賃収入に対する返済比率が50%を切るところまで借金が減れば、ほぼ賃貸経営のリスクはなくなります。
会社員を継続しながら副収入が得られれば良いと考えている方にとっては、最適なプランといえます。
一方で、『いつかは会社員をやめて、家賃収入だけでセミリタイヤしたい!』と考えている方は一棟アパートへとシフトチェンジする方法があります。
区分マンションだとどうしても資産形成に時間がかかってしまいます。
その点、一棟アパートやマンション投資は規模が大きい分、収入の大きさも桁違いです。
月額キャッシュフロー100万円以上を実現してセミリタイヤも可能です。
最初に中古区分マンションで不動産投資の経験と実績を積むことによって、次は金融機関から一棟モノへの融資を得られる可能性がグッと高くなります。
リスクを背負ってでも、大きなリターンを取りたいという方は一棟アパート・マンション投資へと進むと良いでしょう。
まとめ
このように、東京の中古区分マンション投資は、仕事と家庭に忙しい年収600万円の会社員との相性が良いです。
現在、金融機関の不動産投資向けの融資は厳しいため、年収600万円の方が最初から一棟アパートやマンションを購入しようとするのは難しいです。
ただ、中古区分マンションでしたら融資に積極的な金融機関も多いため、年収600万円の会社員であれば無理なく始めることができます。
そして、一度、中古区分マンションで不動産投資を始めてしまえば、実績とキャッシュフローがついてきます。
低リスクで中古区分を買い増ししていっても良いですし、リスクを取って一棟モノへシフトすることもできます。
これから不動産投資を始めたいと考えている年収600万円の方は、まずは中古区分マンションを足がかりにしてはどうでしょうか。
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