こんにちはJOJOです! 東京23区でアパート4棟32部屋の大家をしています。
2018年3月にスルガ銀行の不正融資問題が発覚してから、不動産投資に関係する不祥事が雪崩(なだれ)を打ったように次々と出てきました。
不動産投資にまつわる不祥事一覧
- スマートデイズ・かぼちゃの馬車のサブリース破綻
- スルガ銀行の不正融資(エビデンス偽造)
- TATERU(新築アパート会社大手)によるエビデンス偽造
- ケリーバックス(不動産仲介会社大手)によるエビデンス偽造
- レオパレス不良施工問題
2018年は不動産投資にとって完全に厄年でしたね。
これらの不祥事を受けて、2018年から不動産投資向け融資はかなり厳しくなっていました。
そして、2019年に入ってからも依然として不動産投資向けの融資は厳しい状態です。
ただし、一部の地銀が不動産投資向けの融資を再開するような明るい兆しも出てきています。
この状況を要約すると、次となります。
- メガバンクは融資NG
- 一部の地銀は高属性・金融資産ありのエリサーのみ融資OK
- 初心者が融資を受けるなら、信用金庫、ノンバンク
- ある程度の頭金を貯めることは必須
では、2019年に入って、どのように融資・金利環境が変化してきたのかを見ていきたいと思います。
メガバンク(都銀)
メガバンクの融資は強烈に難しくなりました。ほぼ無理ゲーです。
メガバンクには三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行がありますが、現時点でサラリーマン不動産投資家向けに融資を出しているのは「りそな銀行」のみとなります。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行はどんなに年収が高く、金融資産を持っていても、サラリーマン投資家というだけで完全NGです。
大地主等の一部の富裕層に限って融資の門戸を開いています。
つまり、僕たち一般の投資家は縁を切られたということですね(^-^;)
2017年までは、三井住友銀行を筆頭にメガバンクも積極的に不動産投資向けに融資を出していました。
年収1,000万円以上の高属性サラリーマンであれば、フルローンがガンガン出ていた時代です。
特にメガバンクは全国に支店を持っているので、遠方の物件でも融資が引けます。
僕の知り合いの大家さんも東京に住んでいるのですが、三井住友からフルローン融資を受けて札幌のRC一棟マンションを買いまくってました。
それが、今では一気に融資が縮小。
札幌や福岡のような地方都市にはメガバンクは一切融資をしなくなりました。
そのため、メガバンクが融資をしていた札幌や福岡にある大型RC一棟マンションには融資を付けるのが非常に難しくなりました。
今までは、東京の投資家がメガバンクを使って札幌や福岡の物件に融資を引いていたのですが、それがなくなったわけです。
残りは札幌や福岡にある地場の地銀で融資を引くしかないのですが、その地域に住んでいる投資家でないと融資が引けません。
資産があり、高属性なサラリーマン投資家は東京に集中しているので、札幌や福岡には大型RC一棟マンションを購入できる投資家が少ないです。
つまり、札幌や福岡のような地方都市の物件は購入できる人が激減した結果、物件価格も大幅に下落しています。
2017年までは、札幌や福岡のRC物件の利回りは6-7%程度でしたが、現在は10%を超える利回りで売り出されています。
札幌市地下鉄駅徒歩圏内のRCでも築年数が30年を超えると利回り15%まで上がっています(その分、価格は下がっています)。
2017年より前に札幌や福岡のRCを高値で掴んでしまった投資家は、売るに売れなくて困っている方も多いのではないでしょうか。
さて、メガバンクの融資に話を戻します。
現在、サラリーマン投資家向けに唯一融資を出しているのが「りそな銀行」です。
ただ、このりそな銀行の条件も半端なく高いです。
- 年収2,000万円以上
- 金融資産5,000万円以上
この条件を満たせる投資家は日本全国にほとんどいないでしょう。
ゴールドマン・サックスのような外資系金融にお勤めのサラリーマンの方くらいでしょうか。
ただ、外資系金融にお勤めの方は生活も派手な人が多いので、5,000万円も貯金を持っている人はやはり少数派でしょう。
そのため、一般のサラリーマン投資家にとっては、メガバンクはちょっと無理ゲーなんじゃないですかね。
不動産投資向けの不祥事が落ち着いて、融資姿勢が変わるまでは近寄らないほうが良いかもしれません。
地方銀行
2017年までは、全国の地方銀行がこぞって不動産投資向けの融資を出していました。
首都圏ですと、千葉銀行、横浜銀行、きらぼし銀行、群馬銀行が積極的でしたね。
それが、2018年の夏くらいから、どの金融機関も融資のハードルを一気に高くしました。
特にスルガ銀行の不正融資問題が注目されていた時には、どの地銀も一時的に不動産投資向けの融資を完全にストップしていました。
ただ、最近になって一部の地銀が不動産投資向け融資を再開し始めました!
具体的には千葉銀行ときらぼし銀行に動きが出てきました。
それぞれ詳しく解説します。
千葉銀行
千葉銀行は、貸出残高が8兆円を超える地銀No.2の銀行です(ちなみに、地銀No.1は横浜銀行)。
融資エリアは東京23区、千葉県、埼玉県の東京寄りの場所、茨城県南部です。
ただし、投資家自身が東京都か千葉県に住んでいるという条件があります。
この千葉銀行ですが、スルガ銀行問題が騒がれていた頃には、年収2,000万円以上の高属性サラリーマンにしか融資を出さなくなっていました。
つまり、ほとんどのサラリーマン投資家は対象外になってしまったわけです。
ただ、2019年に入ってから徐々に融資基準が緩くなってきました。
なぜならば、地銀の最大の貸出先は貸家業。9.4%ものシェアを誇ります。
特に千葉銀行は不動産投資向けの融資割合が多いため、不動産投資向け融資をストップすると、銀行の収益が大きく減少してしまいます。
そのため、金融庁からの監視は厳しさを増していますが、背に腹は代えられないため、不動産投資向けの融資を再開したようです。
現在の融資条件は次の通りです。
- 賃貸経営の実績がある(初心者は不可)
- 年収1,000万円以上のサラリーマン/士業
- 金融資産2,000万円以上
融資が緩くなったとは言え、まだ厳しい条件ですね。。
ただ、上記条件を満たす投資家には、フルローン融資も可能なようです。
特に新築物件については、フルローンのハードルが低く、7%を超える高利回り物件に対してはフルローンの可能性が高くなります。
金利は1.5%前後が一番多いようです。
融資期間は基本的に建物の耐用年数+アルファ(20%程度加算)。
参考:建物別耐用年数
木造 | 22年 |
重量鉄骨 | 34年 |
RC(鉄筋コンクリート) | 47年 |
例えば、築25年のRCですと残存耐用年数は22年ですが、僕の知り合いは千葉銀から30年間の融資を引くことができました。
新築に関しては、少し審査基準が緩く木造だと最長で30年、鉄骨・RCだと35年まで融資が出るようです。
きらぼし銀行(旧:八千代銀行)
きらぼし銀行は東京を地盤とした地銀です。
融資エリアは東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏となります。
きらぼし銀行はスルガ不正融資問題以降に融資が厳しくなりましたが、千葉銀行に比べると一定の割合で融資を出し続けていました。
きらぼし銀行の融資基準は次の通りです。
- 賃貸経営の実績がある(初心者は不可)
- 年収1,000万円以上のサラリーマン/士業
- 金融資産1,500万円以上
必要とする金融資産は千葉銀行よりも若干低いですが、ほぼ同じような融資基準ですね。
きらぼし銀行は千葉銀行と違って、フルローンは一切出ません。
相応の頭金を入れることを求められます。
少なくても10%以上の頭金は必要になるようです。
実際に、2019年に僕自身がきらぼし銀行から融資を受けた条件は次の通りです。
- 物件概要:東京23区の新築木造アパート
- 物件価格:1.65億円
- 想定利回り:7.2%
- 必要な自己資金:2,000万円(物件総額の12%)
- 融資期間:30年
- 金利:変動1.2%(団信込)
僕の場合は、個人ではなく法人(資産管理法人)で融資を受けました。
本当は投入する自己資金をもう少し減らしたかったのですが、きらぼし銀行から2,000万円の自己資金は譲れないと断られました。
他の大家仲間からは、きらぼし銀行の金利は少し高めで、1.5-2%くらいだと言われていたのですが、1.2%で審査がおりました。
僕が信用金庫から1%以下の金利で融資を受けていることを話したため、優遇してくれたのかもしれません。
このように、地銀は高属性(高年収)かつ、ある程度の金融資産を持っている方には、未だに検討対象の金融機関となります。
特に千葉銀行がフルローン融資を再開したのは、大きいですね!
ただ、一方で初心者の方への融資は完全に閉じられています。
信用金庫
次は初心者の味方である信用金庫です。
僕自身、信用金庫から融資が引けたおかげで、不動産投資を始めることができました。
ただ、残念ながら融資引き締めの影響は信用金庫にも出ています。
現在、信用金庫はサラリーマン投資家向けの融資を出しているところと、完全に撤退したところの2パターンに明確に別れています。
まず最初に、不動産投資向け融資に積極的な西部信用金庫から見ていきます。
西武信用金庫
西武信用金庫は、今でも不動産投資向け融資を出している貴重な金融機関です。
その特徴は次の通りです。
- 属性は問わない(自営業も可能)
- 借入年数は長い(耐用年数オーバーも可能)
- 融資エリア:東京、埼玉(東京寄りの所沢、さいたま市、大宮、和光市、朝霞等)
- 金利は少し高い(2.5%~)
- 頭金は最低10%以上必要
西武信用金庫は普通に窓口で融資をお願いすると、頭金20%は絶対に入れてくださいねと念押しされます。
しかも、仲介手数料や登記費用といった諸費用は融資してくれないので、頭金20%に加えて諸費用分も現金を用意しないといけません。
ただ、頭金20%なんてなかなか出せる投資家はいませんよね。
実は、裏メニュー?として頭金を10%に下げる代わりに金利を3.3%に上げるという方法があります。
通常の金利が2.5%なので1%弱上がることになります。
ただ、それでも西武信用金庫を使う投資家は多いです。
なぜならば、頭金の条件以外は、非常にハードルが低い、使い勝手の良い金融機関だからです。
まず、属性を問いません。
サラリーマンや公務員でなく、自営業でも融資を引くことができます。
実際に僕の知り合いの女性大家さんは小学校で非常勤の講師をしています。正社員じゃありません。
それにも関わらず、西武信用金庫から新築RCに1.5億円の融資を引き出していました。
金利は2.5%で、融資期間は50年です。
ただ、頭金として3,000万円を投入していました。
この女性投資家は、ご両親から生前贈与を受けて頭金を工面したようです。
確かに頭金は必要なのですが、属性が高くない方(非正規や自営業)でも融資を受けれるというのは大きなアドバンテージです。
また不動産投資初心者にも積極的に融資してくれます。
しかも、融資期間が長いです。
この女性投資家が購入した新築RCは利回りが6%しかありませんが、50年という長期融資期間のおかげで、返済比率はたったの40%以下です。
耐用年数が短い木造でも、長い融資期間が可能です。
西武信用金庫は木造でも独自の耐用年数として50年を設定しています。
そのため、築20年の木造アパートでも30年間の融資を受けることができます。
このように非常に使い勝手が良い金融機関なので、頭金をしっかりと貯めている方は積極的に活用すべきだと思います。
東京シティ信用金庫
東京シティ信用金庫も初心者に対して不動産投資向け融資を出しています。
ただ、東京シティ信用金庫は建物の耐用年数に対して非常に厳格です。
例えば木造の新築アパートの場合は、最長22年の融資期間となります。オマケはありません。
ただ、RCや重量鉄骨であれば、新築で30-35年の融資を確保できるので、一棟マンション向きと言えます。
頭金は最低10%を入れることが求められます。
信用金庫の中では、営業エリアが広いほう(東京23区、東京寄りの埼玉・千葉)なので、利用できる投資家さんも多いと思います。
芝信用金庫
芝信用金庫も営業エリアの広い信用金庫です。
東京23区、神奈川、埼玉を営業エリアとしています。
以前は不動産投資向け融資にも積極的で、過去に取引のある投資家にはフルローンもバンバン出していました。
ところが
昨今の不動産投資向け不祥事以来、サラリーマン投資家向けの融資は完全NGとなってしまいました。残念。
芝信用金庫は所有権だけでなくて、借地物件も柔軟に取り扱ってくれます。
しかもフルローンも出ていたので、非常に使い勝手の良い金融機関でした。
そのため、僕自身、芝信用金庫には毎月1万円の積立を行って将来への布石を打っていたつもりでした。
それがまさかのサラリーマン投資家向け融資完全NGへと方針転換。
不動産投資については、一部の富裕層にだけ融資を行っているそうです。
使い勝手の非常に良い信用金庫だったので、残念ですね。
方針が変わって、不動産投資向け融資が復活するのを祈っています。
ノンバンク
ノンバンクとは、いわゆる消費者から預金を集めずに、他の金融機関から資金調達を受けることによって、与信業務(お金を貸して、収益を上げる)を行っている金融機関です。
代表的なところとしては、オリックス銀行、三井住友トラストL&F、セゾンファンデックスが上げられます。
これらのノンバンクは今でも不動産投資向けの融資に積極的です。
これらのノンバンクは次の2つのグループに分けられます。
一棟アパート特化型:三井住友トラストL&F
区分マンション特化型:セゾン、ジャックス
一棟もの・区分ハイブリッド型:オリックス銀行
これらのノンバンクの特徴としては、金利は高いが、融資のハードルが低いことです。
三井住友トラストL&F
例えば、一棟アパートに特化した三井住友トラストL&Fは耐用年数オーバーの築古はもちろん、容積率オーバー等の違法物件、再建築不可といった通常の金融機関が貸してくれない物件にも積極的に融資をしてくれます。
しかも、木造でも耐用年数を最長70年見てくれるので、築30年の木造アパートに30年間の融資がでたりします。
また営業エリアも全国の主要都市全てをカバーしています。
仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡の7拠点に支店を設けているため、全国の投資家が利用可能です。
ただ、金利は3.9%とかなりお高めです。
しかも共同担保が必要になります。
そのため、抵当権が入っていない実家や投資用区分マンションをお持ちの方が対象になります。
ただ、不動産であれば、どんなにボロくても共同担保として見てくれます。
そのため、2-300万円のボロ戸建を現金、もしくは日本政策金融公庫の無担保ローンで購入して、それを共同担保に差し出すことで三井住友トラストL&Fから融資を受けている方も大勢います。
三井住友トラストL&Fは初心者にも積極的に融資をしてくれます。
しかもサラリーマンだけでなく、非正規社員や自営業の方でもOKです。
そのため、初心者の方はまず三井住友トラストL&Fを使って築古の高利回りアパートを購入し、キャッシュフローを貯めるという方法があります。
ある程度キャッシュフローが貯まってくれば、それを活用してより低金利の信用金庫から融資を受けることができます。
このように三井住友トラストL&Fから投資を始めて徐々にステップアップしていく投資家さんは沢山います。
オリックス銀行
オリックス銀行も初心者に対して積極的に不動産投資向け融資をしている金融機関となります。
オリックス銀行の特徴は次の通りです。
- 初心者OK
- 求める属性は年収500万円以上のサラリーマン(自営業NG)
- ノンバンクの中では、一番金利が低い(1.975%~)
- フルローン可能
- 耐用年数に少しオマケして融資期間を長めに取ってくれる。
- 一棟アパート、区分マンションどちらにも積極的
オリックス銀行は一言で表現すると、サラリーマン投資家に特化した金融機関です。
年収500万円以上というハードルさえクリアしてしまえば、後は非常にフレキシブルに融資をしてくれます。
ただ、耐用年数に関しては、三井住友トラストL&Fほど長期で見てくれないので、新築もしくは築浅(10年以内)の物件が相性が良いようです。
新築もしくは築浅の物件であれば、35年の融資期間を設定してくれます。
一棟もの、区分マンションの両方に融資をしてくれますが、区分マンションの場合は今でもフルローンが可能です。
そのため、そこそこ年収の高いサラリーマンが新築もしくは築浅の区分マンションを購入する時に最も相性が良い金融機関だと言えます。
まとめ
最後に金融機関のタイプごとに融資情勢をまとめます。
メガバンク | ほぼ融資NG。 |
---|---|
地銀 | 一部の地銀は不動産投資向け融資を再開。特に千葉銀が積極的。ただし、高属性と相応の金融資産が必要。初心者はNG。 |
信用金庫 | 西武信金を筆頭に不動産投資に積極的な信金も一部存在する。頭金1割さえ用意できれば、初心者でも融資を受けれる可能性がある。 |
ノンバンク | 未だに積極的。他の金融機関が敬遠する物件(再建築不可、区分マンション)にも融資が出る。特に区分マンションではフルローンも可能。 |
全体的に見ると2019年も融資情勢は厳しいですが、一部の地銀が融資を再開する等明るい兆しも見えてきています。
そのため、不動産投資向け融資に積極的な金融機関を選んで打診すれば、まだまだ融資を受けることは可能だと思います。
ただ、どの金融機関もある程度の自己資金(金融資産)を持っていることが前提になっています。
仮にフルローンで融資を受けれるとしても、ある程度の自己資金が手元にないと不測の事態に対応できません。
そのため、金融資産が足りない方は、まずは節約や積立投資を通してコツコツと資金を貯めるところから始めた方が良いでしょう。
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僕は今まで30行以上の金融機関で融資審査を申し込み、10行以上の金融機関から融資承諾を得てきました。その全ての経験と知識を記事に詰め込みました。
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