こんにちはJOJOです! 東京都内で3棟20部屋のアパートを経営しています。
スルガ銀行の不正融資が発覚して以来、すっかり不動産投資向けの融資が厳しくなってしまいました。
金融機関の中には、サラリーマン投資家というだけで門前払いをするところも増えてきました。
僕も既に不動産投資歴が7年を超えましたが、未だに門前払いされています(笑)。
特に実績のない初心者の方は、金融機関に問い合わせても断られてばかりというケースも多いのではないでしょうか。
ただ、こんな厳しい融資環境にあっても不動産投資に積極的に融資をしている金融機関があるのです!
しかも、初心者に対しても融資をつけてくれます。
それは、信用金庫です。
実際に僕はアパート3棟分の融資1.5億円を全て信用金庫から借りています。
でも、ほとんどの方にとって、信用金庫はあまり馴染みがないのではないでしょうか。
ATMを利用したり、給与支払い口座として使っているのは、メガバンクもしくはゆうちょ銀行という方が多いのではないでしょうか。
あまり普段から信用金庫と積極的にお取引がある人は少数派だと思います。
そこで今回は、不動産投資向けの融資がつかなくて困っている方向けに、信用金庫の特徴と融資を受けるコツを紹介したいと思います。
信用金庫とは?
まず初めに信用金庫とな何かを簡単に説明したいと思います。
信用金庫は金融機関の一部ですが、代表的な銀行とは異なります。
一番大きな違いは、『株式会社ではなく、非営利法人。つまり営利追求を目的としていない』ということです。
もちろん信用金庫も利益を出さないと経営できないため、営利事業を行っているのに変わりはないのですが、そもそもの設立目的が違うのです。
信用金庫の目的は次の通りです。
地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とする。
引用元:全国信用金庫協会ホームページ
この『地域の繁栄を図る』というのがポイントです。
つまり、信用金庫の営業エリアは特定の地域ごとに分かれており、その地域の繁栄を図るために融資をしてくれるということです。
逆に言うと信用金庫の営業地域に何の接点もない人には融資をしてくれません。
信用金庫で融資を受けるためには、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。
1.不動産投資家が営業地域に居住している |
2.収益不動産が営業地域に立地している |
一番確実に融資を受けることができるのは、1,2両方を満たしている場合です。
つまり、信用金庫の営業エリアの中に不動産投資家本人も居住している、かつ、収益物件も立地しているという条件を満たす場合です。
例えば、名古屋を営業エリアにしているA信用金庫があるとします。
このA信用金庫で融資を受ける可能性がある人は、次のパターンです。
1.名古屋に居住していて、収益物件も名古屋にある |
2.名古屋に居住しているが、収益物件は隣の岐阜県にある |
3.隣の岐阜県に居住しているが、収益物件が名古屋にある |
上から順番に融資可能性が高くなります。
まず対象地域に借り手が居住している(もしくは法人がある)ことが一番重要なポイントになります。
これは、信用金庫の与信管理の観点から重要です。
信用金庫の営業エリアに借り手が居住していれば、借り手に問題があった時にすぐに異変に気がつくことができますよね。
例えば、金融機関は借り手である不動産投資家の賃貸事業がうまく行っているかどうかや、会社に継続して勤務しているかどうかを常にチェックしています。
信用金庫の営業担当者は基本的に借り手の家に足繁く通ってきます。
これは借り手との関係を強化したいという目的もあるのですが、それ以上に、借り手の生活状況を把握するためです。
例えばサラリーマン投資家が奥さんを連帯保証人にして信用金庫から融資を受けるとします。
この場合、信用金庫は『サラリーマンという属性』および『連帯保証人(奥さん)』を担保にとって、融資をしています。
そのため、信用金庫の営業担当者は常に『投資家が会社を辞めていないかどうか』、『奥さんとの関係は良好かどうか』をチェックしています。
一番簡単なチェック方法は、投資家の自宅を訪問することなんですね。
昼間っから投資家がプラプラしていれば、会社を辞めたことはすぐ分かります。
いつも応対してくれていた奥さんが自宅にいないのであれば、別居の危機を迎えているかもしれません。
このように、信用金庫の営業担当者はコマ目に投資家の生活状況をチェックします。
そして、何か異変があったときには、すぐに対応できるような体制をとっています。
投資家が信用金庫の営業エリアに居住していれば、頻繁に自宅を訪問することも簡単にできます。
そのため、信用金庫は投資家自身が営業エリア(支店があるエリア)に居住していることを重視するのです。
次に重要なのが、物件が信用金庫の営業エリアにあるかどうかです。
信用金庫が投資家の自宅を頻繁に訪問するのと同じように、所有物件も定期的にチェックしにいきます。
所有物件を見に行けば、空室が何部屋あるかどうかは一目瞭然(りょうぜん)です。
また、物件の管理状況も把握できます。ゴミが散乱しているような物件では、入居者もつかないですからね。
営業エリアに物件があれば、チェックしに行くのも簡単です。
そのため、経営状況管理の観点から、物件が信用金庫の営業エリアにあることは望ましいのです。
このように、信用金庫から融資を受ける場合は、その営業地域に何らかの接点を持っていることが大条件となります。
信用金庫の特徴
次に、他の金融機関(メガバンク、地銀)と信用金庫の違いを明らかにしながら、その特徴を説明したいと思います。
信用金庫 | メガバンク | 地銀 | |
融資エリア | 狭い | 広い(全国) | ある程度限定 |
属性(年収) | 500万円以上 | 2,000万円以上 | 1,000万円以上 |
必要な自己資金 | 500万円以上 物件価格の10%以上 |
5,000万円以上 物件価格の20%以上 |
1,000万円以上 物件価格の10%以上 |
融資期間 | 長い (耐用年数オーバー可能) |
耐用年数以内 | 耐用年数以内 |
借地物件 | 取扱可能 | 不可 | 不可 |
金利 | 2%前後 | 1%前後 | 1.5%前後 |
融資エリア
信用金庫の融資エリアは他の金融機関(メガバンク、地銀)と比べると非常に狭いです。
例えば、都内でも営業エリアが狭くて有名な目黒信用金庫の場合は、融資エリアは目黒区、品川区、大田区、世田谷区の城南4区だけです。
もっとも幅広い融資エリアを持っている西武信用金庫ですら融資エリアは東京23区と東京に近い埼玉(川口市、さいたま市、所沢市等)のみです。
ただ、信用金庫は日本全国にありますので、日本に居住している限り、どこかの信用金庫の営業エリアに住んでいるという要件は満たすことが出来ます。
問題は、購入する物件が営業エリア内にあるかどうかになります。
投資家の方の多くは都市部に住んでいると思います。
その場合、基本的に自分が住んでいるエリアの近辺で物件を探すことが大前提となります。
信用金庫は必ずしも営業エリアに物件がないと融資を出さない訳ではありませんが、ハードルはグッと高くなります。
特に実績のない初心者の方は、信用金庫の営業エリアに物件が立地していないと融資を受けるのは難しいと思います。
実際に僕は東京23区内に住んでいますが、所有物件も全て東京23区に集中させています。
居住地も物件所在地も融資を受けている信金の営業エリア内にあるため、不動産投資初心者の時もスムーズに融資を受けることができました。
属性(年収)
不動産投資向け融資が厳しくなって以来、金融機関が不動産投資家に求める属性(年収)基準は上がっています。
例えば一番厳しいメガバンクですといくら年収の高いサラリーマンでも、サラリーマンである限り一切融資しないところもあります。
つまり、地主か莫大な自己資金を持っている資産家しか相手にしないということです。
唯一サラリーマン投資家向けに融資をしているりそな銀行であっても、最低年収は2,000万円と言われています。
普通の会社員には一生かかっても無理ですね。
少しハードルの低い地銀でも最低年収を1,000万円に設定しているところがほとんどです。
一方で、信用金庫の場合は、基本的に年収のハードルは低いです。
なぜならば、信用金庫の設立目的がそもそも地域の零細企業の資金繰りを支援することだからです。
サラリーマンの年収で言うと、500万円以上あればチャレンジすることが可能です。
必要な自己資金
スルガ銀行の不正融資問題以降、ほとんどの金融機関でフルローンがでなくなってしまいました。
購入する物件と同じだけの金融資産を持っている富裕層に対してはいまだにフルローンが出ることがありますが、あくまでも例外です。
2017年後半までは、属性の良いサラリーマンや士業の方であれば、貯金がほとんどなくてもフルローンが出ていたのですけどね。
そのため、これから不動産投資を始めたいと考えている初心者の方は、一定の額の自己資金が必要になります。
ただ、信用金庫はメガバンク、地銀と比べると必要とされる自己資金は少なめです。
メガバンクでは金融資産を5,000万円以上持ち、頭金として20%以上投入できる方でないと融資を受けることができませんが、信用金庫では頭金500万円あれば、融資の土俵に乗ることが可能です。
例えば3,000万円ほどの小ぶりな中古アパートであれば500万円の自己資金があれば十分です。
物件価格の10%の300万円を頭金に投入し、残る200万円で仲介手数料や登記費用といった購入諸経費に充てることができます。
そのため、これから不動産投資で一棟もののアパートを購入したいと考えている人は、まず最初に500万円の貯金を貯めることを目標にすると良いと思います。
500万円であれば、ボーナスと毎月の給料からコツコツ積立していけば数年で達成できると思います。
アパートを購入するまでの我慢だと思って節約に励みましょう!
ちなみに、僕は積立投資によってアパートの頭金を貯めました。投資初心者にオススメです。
融資期間
不動産投資向けの融資を考える場合、融資期間はできる限り長くとることが望ましいです。
融資期間が長くなれば、毎月の返済額が減り、キャッシュフローが増えるからです。
キャッシュフローが潤沢にあれば、賃貸経営は安定しますからね。
ただメガバンクや地銀では、融資期間は建物の耐用年数以内と決まっています。
建物別耐用年数
木造 | 22年 |
重量鉄骨 | 34年 |
RC(鉄筋コンクリート) | 47年 |
新築の木造アパートだけは例外的に融資期間を30年に伸ばしてくれる地銀もありますが、あくまで少数です。
そのため、例えば築20年の木造アパートを購入する際に、メガバンクや地銀から融資を受けようとしても、融資期間はたった2年(22年-20年)しか受けることができません。
融資期間2年なんて、絶対にキャッシュフロー回りません。
じゃあ、築古の物件は購入できないのかというと、そうではありません。
信用金庫であれば、耐用年数以上の融資期間を設定してくれるところが多いのです。
代表的なのが西武信用金庫です。
西武信用金庫は独自の耐用年数の考え方を採用しており、木造であれば耐用年数を50年見てくれます。
先ほどの築20年の中古アパートにも30年の融資期間を設定してくれます。
このように築古物件を購入する際の強い味方が信用金庫になります。
特に耐用年数が短い中古木造アパートを購入する場合には、ほぼ信用金庫でしか融資を受けることができないと思います。
実際に僕も築15年の築古木造アパートに対して、都内の他の信用金庫から25年の長期融資を受けています。
ちなみに西武信用金庫は新築物件にも長い融資期間を設定してくれます。
木造で35年、鉄骨・RCだと40年もの長期融資を組んでくれます。
ただし西武信用金庫は頭金を20%以上必要としますので、頭金に余裕がある方にオススメです。
借地物件
都内で物件を探していると、たまに他の物件に比べて利回りの高い物件に出会います。
そのほとんどが借地物件であるケースが多いです。
ただ、ほとんどの金融機関は借地物件に対して融資をしてくれません。
なぜならば借地物件は土地を担保に取ることができないからです。
借地権に対しても抵当権を設定することは理論上可能なのですが、通常は地主さんが嫌がります。
ただ、一部の信用金庫の中には、借地物件にも積極的に融資をしてくれるところがあります。
僕も借地権付きの中古アパートを所有していますが、信用金庫から問題なく融資を受けています。
このように通常の金融機関では融資をしてくれないような特殊な不動産にも融資してくれる信用金庫は非常に有り難い存在です。
金利
耐用年数オーバーの物件や借地物件にも融資をしてくれる非常に有り難い信用金庫なのですが、金利は少し高いです。
メガバンクだと金利1%未満、地銀でも金利1.5%前後で借りることができますが、信用金庫の場合は2%前後の場合が多いです。
不動産投資に積極的な西武信用金庫の場合は2.5%以上となっています。
ただ、少ない自己資金、長い借入期間でも融資をしてくれることを考えると2%程度の金利は十分許容範囲だと思います。
不正融資が明らかになったスルガ銀行の金利は4.5%でした。
これに比べると2%でもかなり良心的ですよね。
それに、信用金庫も返済実績を積み重ねることで、金利を下げてくれる可能性があります。
金融機関は収益及び安全性によって顧客をランク分けしています。
信用金庫から融資を受けて一定期間問題なく返済を続けていると、信用金庫内の顧客ランクが上がります。
そうすれば、金利引き下げ交渉にも応じてくれる可能性が出てきます。
実際に僕は信用金庫から初めて融資を受けた時には金利2%でしたが、今は0.9%まで下がっています。
金利0.9%というとメガバンク並の金利水準です。
僕はこの低金利を獲得するために、所有しているアパート3棟の融資を全てある信用金庫に集中させています。
信用金庫の顧客はほとんど零細企業であるため、平均融資額は500-1,000万円程度です。
それに対して、僕の場合は1.5億円の融資を一行から受けているため、信用金庫の中では上顧客として扱って頂いています。
信用金庫からより確実に融資を受けるコツ
信用金庫は、顧客との関係性を非常に重視します。
つまり、どんな些細な取引でも、実績とカウントされて融資を受けやすくなるのです。
金融機関との取引というとハードルが高そうに聞こえますが、実際は誰でもできる簡単なものばかりです。
信用金庫との実績作りに役立つ取引は次の通りです。
- 預金口座を作る
- 定期積立を行う
- 光熱費の自動引落を設定する
- 給与受取口座に設定する
- 住宅ローンを借りる
ちなみに、僕は今融資を受けている信用金庫とは、不動産投資を始める前から付き合いがあります。
家を購入した際に、地元の信用金庫の営業マンが定期積立の勧誘にやってきました。
あまりにも営業マンがしつこいので、妻が根負けして妻と僕の預金口座を作り、月1万円の定期積立を行いました。
月1万円くらいだったら、子供の教育資金としてもちょうど良いかなと思ったので。
これがきっかけで、信用金庫の営業マンが定期的に我が家に訪問してくることになりました。
その数年後に僕は不動産投資を始めることになるのですが、それまでの実績を評価されて初心者である僕はその信用金庫から融資を無事受けることができました。
定期積立を始めた時は、まさか不動産投資をするなんて夢にも思ってなかったんですけどね(^-^;)
やっぱり日頃のお付き合いは大切です。
ちなみに今では信用金庫との関係性が深くなってきたので、子供も含めた家族全員の預金口座と毎月5万円の定期積立を行っています。
自宅と収益不動産の水道光熱費は全て信用金庫からの口座引き落としにしています。
サラリーマンの給与支払い口座ももちろん信用金庫です。
これに加えて、支店の営業成績が厳しい時には、無担保ローンを借りてほしいをお願いされることがあります。
もちろん無担保ローンなんて借りる必要はないのですが、これもお付き合いだと思って快く引き受けています。
おかげで、年末には支店長自らが粗品である大量のそうめんを携えて挨拶に来てくれるまでになりました。
無担保ローン以外は、どれも無料でできる取引です。
気になる信用金庫があれば、口座を開設して、少額の積立や水道光熱費の口座振替に設定しておくと良いと思います。
きっと、将来融資を受けたい時に役に立ちますよ!
まとめ
最後に、信用金庫のメリットとデメリットをまとめておきます。
メリット
- 属性(年収)が低くてもOK
- 自己資金が少なくてもOK
- 融資期間が長い
- 借地もOK
デメリット
- 営業エリアが狭い
- 金利が高い
多少のデメリットがありますが、それを補って余りあるメリットだと思います。
特に実績がなく、自己資金も乏しい初心者にとって、信用金庫は頼りになるパートナーです。
ぜひ近くの信用金庫に口座を作るところから始めてみてはどうでしょうか?
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