新築アパート投資は、その見込まれる安定収益とキャピタルゲインの期待から、不動産投資の世界で常に注目の対象となっています。
しかし、その一方で、厳しい競争環境や誤った投資判断が招くリスクも忘れてはならない事実です。
本記事では、新築アパート投資の魅力を最大限に引き出すためのステップと、それぞれのステージで直面する可能性のある課題やリスク、そしてこれらをどのように乗り越えるべきかについて、深く掘り下げていきます。
新築アパート投資を成功させるための道のりは一筋縄ではいかないものですが、正しい知識と戦略を手にすることで、その道は確実に開けていきます。
新築アパート投資を進めるためのステップ
新築アパート投資は安定したキャッシュフローとキャピタルゲインを求める方法の一つとして注目を浴びています。
しかし、単に物件を購入すればよい中古物件と違って、新築アパート投資は複数の工程をこなしていく必要があります。
以下に、不動産投資のステップと、特に留意すべき点をご紹介します。
1. 土地の選定:適正な投資対象を見つける
不動産投資の第一歩は、土地選びです。
その際、相対的に安い土地が理想的な投資対象となります。
公道に面した整形地は価格が高いため、変形地や旗竿地、私道に面した割安な土地が対象となってきます。
さらに、自宅にするには大きすぎ、2戸に分けるには小さすぎる土地も良い選択肢となります。
または、建物がついている土地も割安に購入できる可能性があります。
解体屋さんとのパイプがあり、解体費用を安くできるのであれば、古屋付きの土地を安く購入する方法もあります。
2. 建築業者の選定:コストを抑えてアパートを建てる
次に、アパート建築の発注を行います。
このとき大手ハウスメーカーは費用が高すぎるため、中小の工務店や建築会社を選ぶと経済的です。
僕の肌感覚ですが、ハウスメーカーの価格を100とすると、中小の工務店の価格は60-70くらいに収まります。
地主であれば、建築費が高いハウスメーカーを使っても収支が回るかもしれませんが、僕たち投資家は土地と建物をゼロから購入する必要があります。
知名度や財務的な信用に劣るとしても、安い中小工務店を使わないと収支が合いません。
工務店を選ぶ際には、新築アパート施工の経験が豊富な業者を選ぶことも重要です。
ほとんどの工務店が戸建がメインであり、アパートやマンションの施工経験を持っている工務店は少数です。
一番良いのは、大手ハウスメーカーの下請けである工務店を探すことです。
大手の下請けであるため、大手と同様の施工品質を実現できますし、アパート施工実績が豊富なため、安く設備を入れることも可能です。
3. 融資の受け入れ:アパートローンを活用する
新築アパートは建物の耐用年数がフルで残っているため、金融機関からの融資が比較的受けやすいです。
アパートローン専門の金融機関、信用金庫、地方銀行などから返済期間が長い条件で融資を受けましょう。
返済期間は地方郊外だと20年、首都圏だと30-35年が一般的です。
4. 賃貸の客付け:適切な価格設定とプロモーション
竣工後は、新築時には相場最高値の家賃を設定し、客付けを行います。
利回りを最大化するため、可能な限り高い賃料で契約を締結することが望ましいです。
そのために、敷金・礼金をゼロに設定し、フリーレントを導入するなどして、広告料も1~3か月分を負担することも有効です。
実際には新築の募集賃料を決めるのはなかなか難しいです。
ほとんどの人が賃貸管理会社に家賃相場をヒアリングすると思いますが、管理会社は高い家賃だと決めるための労力がかかることを知っているため、できるだけ保守的な想定家賃を算出する傾向があります。
そのため、大家自ら賃貸ポータルサイト等をみて、適正な範囲で、一番高い値付けをする必要があります。
最近は、スマサテのようなAIを使った賃料査定を行うサービスもあるので、参考にすると良いと思います。
5. アパート運営:キャッシュフローを確保する
運営においては、返済期間が長く、入居者が付きやすい新築アパートは、中古物件に比べて保有期間中のキャッシュフローが大きいというメリットがあります。
特に新築~築10年までは大規模な修繕は不要で、退去時の原状回復工事もクリーニング程度なので、費用を抑えることができます。
さらに、建物の減価償却もフルで行うことができるため、税金も抑制できます。
6. 売却時期の選定:キャピタルゲインを狙う
最後に、適切な売却時期の選定が重要です。
築10年前後を目安にすると良いでしょう。この時期は家賃の下落スピードが増し、修繕費用が増加する傾向にあります。
そうしたタイミングで売却を行うことで、キャピタルゲインを最大化することが可能になります。
以上が新築アパート投資における一連のステップとなります。
各ステップにおいて具体的な行動を取り、適切な判断をすることで、不動産投資において成功をつかむことが可能になります。
新築アパート投資のメリット:安定したキャッシュフローと手間の少なさ
不動産投資の中でも、新築アパート投資には多くのメリットがあります。
特に投資初心者にとって最大のハードルである融資について、メリットがあります。
それでは、その具体的なメリットを詳しく解説していきましょう。
1. 融資の受けやすさ:新築アパートと金融機関の関係
新築アパート投資の大きなメリットの一つは、融資が受けやすいという点です。
金融機関は一般に建物の耐用年数を考慮して融資期間を設定します。
新築アパートなら、建物の残存耐用年数がフルに残っているため、融資期間を最長化できます。
特に、木造の耐用年数は22年ですが、首都圏の金融機関では30-35年まで返済期間を延ばしてくれることが多いです。
一方で地方では、土地価値の下落リスクがあるため、返済期間は20-22年となりがちです。
新築物件であれば、オリックス銀行やスルガ銀行のようにパッケージローンを提供している金融機関からもフルローンを受ける可能性があります。
また、金利が比較的安い地銀も新築には積極的に融資を出しています。
一般的に地銀は建物の耐用年数に対してシビアです。
基本的に中古は建物の残存耐用年数以内で返済期間が設定されます。
それが新築の場合は、RC/重量鉄骨のマンションであれば35年(最近、40年を出す千葉の地銀もあります)、木造でも30~35年まで返済期間を延ばすことができます。
パッケージローンを提供しているオリックスやスルガ銀行、そして信金に比べて地銀は金利が低いので、新築は地銀を活用するのも良いでしょう。
僕も実際に、新築木造アパートに対して、きらぼし銀行や東日本銀行から金利1%前半、返済期間30年で融資を受けています。
2. キャッシュフローの安定性:返済期間の長さがもたらす利点
返済期間が長いという特性は、毎月のキャッシュフローを最大化する上でも有利です。
長い返済期間により、毎月の返済額を抑えることが可能となり、安定したキャッシュフローを生むことが可能になります。
3. 入居付けの容易さ:新築アパートの魅力
新築アパートは最新の設備を導入でき、そのために入居付けがしやすいというメリットがあります。
最近ですと、バストイレ+独立洗面台、インターネット無料、宅配ボックス、テレワーク用のデスク等の設備が人気ですね。
これらを全部新築に盛り込むことができます。
それに、日本人は綺麗な新築が大好きです。
新築信仰が根強い日本人にとって、新築物件は魅力的であり、多少家賃が高くても新築アパートに住みたいと考える人は多いです。
4. 保有期間中の修繕の手間が少ない:新築アパートのメンテナンス性
新築~築10年以内の間は大規模な修繕がほとんど不要であるという点も大きなメリットと言えます。
具体的には、エアコンや給湯器などの設備交換が不要であり、フローリングも傷みにくいです。内装についても、クロスの貼り替えが必要になる程度で、修繕に伴う手間とコストが少ないのです。
以上の要点からも、新築アパート投資は初期の融資受付から運営期間中のメンテナンスまで、様々な面でメリットを享受することが可能です。
返済期間の長さによる安定したキャッシュフロー、新築ならではの入居者の獲得しやすさ、そして保有期間中の手間の少なさ。
これらは、不動産投資という手法を選ぶ上で大きな利点となる要素です。
新築アパート投資のデメリットと注意点
新築アパート投資には様々なメリットがありますが、その一方でデメリットも存在します。
ここでは、それらのデメリットと投資を行う際の注意点について解説します。
1. 初期投資の大きさ
新築物件の価格は中古物件に比べて高額であることが一般的です。
つまり、物件の規模が大きくなるということです。
その結果、大きな頭金が必要となります。
ただ、前述した通り、オリックス銀行やスルガ銀行などのパッケージローンを上手く使えば、必要な自己資金を最小化することができます。
投資初期で自己資金が少ない方は、最初はパッケージローンの活用が現実的でしょう。
2. 土地選びの難しさと建築リスク
投資用の土地を選ぶ際には、土地の形状、用途地域、斜線規制、防火地区などの法令を考慮し、どのような建築プランが適用可能かを判断する必要があります。
建築プランの作成には一定の建築知識が求められます。
そのため、建築プランの作成は設計士に外注することが一般的ですが、毎回3-5万円のプラン代が必要となります。
そのため、プランが上手に入らない場合、ラフプラン費用が無駄となってしまいます。
できれば自分である程度のラフプランを入れて、プランが入る目途が立った土地だけプロの設計士にする方が効率がよいです。
新築を志すのであれば、ある程度の建築知識を身につけて、自分でエクセルを使って間取りを考える訓練をしておくことをお勧めします。
3.工務店破綻リスク
工務店が途中で破綻して、建築がストップする可能性があります。
破綻した場合、建築途中で新たに引き継いでくれる工務店を探すのは困難です。
見つかったとしても建築コストが跳ね上がります。
コスト増分について融資を受けることはできないため、自己資金から捻出するしかありません。
4. 家賃下落と資産価値の減少
新築から築10年の間に最も家賃の下落スピードが速いため、適切な家賃設定と入居者の維持が課題となります。
また、新築アパートは建物価値の割合が高いという特性があります。
都内でも土地:建物=7:3くらい。地方では土地:建物=9:1も珍しくありません。
築年数が経過すると建物価値が減少し、土地価値のみが残るため、資産価値の下落リスクがあります。
5. 供給過多の問題
新築アパート投資は手軽さと利回りの良さから、投資家が増えています。
一部の地域では新築アパートが乱立し、入居者を見つけるのが難しくなっているケースもあります。
以上の点を踏まえ、新築アパート投資を行う際は、デメリットとリスクに十分に目を向け、しっかりとした計画を立てて行うことが求められます。
まとめ
新築アパート投資はその魅力的な収益性と資産価値により、多くの投資家の関心を引きつけています。
しかし、新築アパート投資の環境は近年厳しさを増しており、収益性と資産性が低下していることに注意が必要です。
1. 融資の利便性と競争の高まり
新築アパート投資は融資が受けやすいというメリットがありますが、それに伴い競争も激しくなっています。
これはアパート用地の価格を上昇させる一因となっています。
地方郊外を中心に、ようやく戸建用地の価格は天井をつけた感じがありますが、アパート・マンション用の土地は今でも値上がりし続けています。
2. 利回り低下と建築コストの高騰
現状、新築アパート投資の利回りは下降傾向にあります。
原因の一つとして、建築コストの上昇があります。
僕が初めて新築を建てた5年前と比べると+30%ほど建築費が上昇しています。
木造3階建て単身者用アパートでいうと、戸あたり600万円で建築できていたのが、今は800万円という感じです。
以前は地方郊外であれば利回り10%以上を狙えましたが、現在は8%を超えることすら難しい状況です。
僕自身も5年前に東京都品川区で新築アパートを新築した際の利回りは7.5%を超えていました。
しかし、今同じ建物を建てたとして、同じ利回りを出すのは無理です。
おそらく頑張って6%を上回れるかどうかでしょう。
3. 工務店の破綻リスク
原材料費や人件費の上昇により、工務店の利益は薄くなり、その結果、経営破綻するケースも増えています。
実際に2023年2月に一棟RCマンションを手掛けている中堅建築会社のUBMが破綻し、多数の新築投資家が被害をこうむりました。
4. 地方郊外の投資リスク
地方郊外での新築アパート投資は特に注意が必要です。
地方郊外では建物比率が高く、土地価値が下落傾向にあるため、資産価値(売却可能価格)の下落スピードが速いという特徴があります。
新築から10年間はキャッシュフローが出るため、儲かっている印象をうけますが、実際は建物の減価償却分が手元現金に変わっているだけといえます。
タコが自分の足を食べるのに似ていますね。
資産価値の下落スピードが速いため、10年後に売却しようとした際に、売却価格が残債を下回る可能性もあります。
その場合、自己資金を入れないと売却できません。
保有期間中に得たキャッシュフローを売却時に吐き出すのであれば、投資した意味がなくなってしまいます。
地方郊外での投資は、その資産価値の下落スピードが速いことを理解した上で、それでも最終的にリターンがある物件に絞って行う必要があります。
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ぶっちゃけネットで検索すると収益不動産は山のように出てきますが、残念ながらほとんどの物件は儲かりません。
儲かる物件かどうかを判別するためには、自分自身で収支シミュレーションを行い、税金を支払った後に残るキャッシュフローの金額を正確に把握する必要があります。
ただ、初心者の方にとって賃貸経営において必要な運営経費を漏れなく計上するのはハードルが高いです。
また日本の税制は複雑なので、収益不動産を購入することによってどれだけ税金が増えるのかを計算するのは至難の技です。
そのため、税金を考慮せずに収益不動産を購入した結果、想像以上の税金を支払うハメになり期待していたキャッシュフローが得られないことも多々あります。
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