こんにちはJOJOです! 東京23区でアパート4棟32部屋の大家をしています。
最近、区分マンション投資が人気です。
区分マンションは立地が良い物件も多いため、賃貸ニーズが高いです。
また、一棟モノに比べると規模も小さいため、融資が出やすいです。
そのため初心者を中心が徐々に高まりつつあります。
ただ、投資用区分マンションを購入した方から次のような声を多く頂きます。
『投資用区分マンションを購入したのですが、予想していたよりもキャッシュフローが少なくて困っている』
区分マンション投資は確かに低リスクなんですが、その分利回りも低めです。
不動産投資の世界では、ローリスク・ローリターンの部類に入ります。
そのため、よく物件を吟味しないとキャッシュフローが赤字になる可能性が高いです。
初心者の方に多いのが、購入時の収支シミュレーションが甘いパターンです。
業者が出してくる収支シミュレーションをそのまま信用して低い利回りの物件を購入してしまう方も多くいます。
はっきり言うと、業者が出してくる収支シミュレーションの大半は実際よりも楽観的です。
つまり実際に賃貸経営を始めてみると、業者が試算してくれたよりも運営コストが高くなることが多いです。
そのため、これから区分マンション投資を始めようと考えている方は、実際に運営コストがいくら必要なのかを正確に理解することが大事です。
今回は、僕の賃貸経営の経験の元に、東京で区分マンション投資を行った場合にかかる具体的な運営コストを紹介したいと思います。
一般的な収支計画の紹介
まずは不動産業者が出してくる投資用区分マンションの一般的な収支計画を解説したいと思います。
実際に販売中の物件を事例として使いながら解説したいと思います。
価格 | 2,060万円 |
---|---|
所在地 | 東京都墨田区 都営浅草線 押上駅 徒歩9分 |
構造 | 鉄筋コンクリート(RC)造の1K 区分マンション |
専有面積 | 21.6㎡ |
築年数 | 築11年 |
利回り | 4.8% |
家賃(月収) | 8.2万円 |
満室時年収 | 98.4万円 |
管理費/修繕積立 | 0.7万円 / 0.3万円 |
東京スカイツリーのお膝元となる押上駅徒歩9分の築浅物件です。
立地は抜群なので、賃貸ニーズは高いでしょう。空室が出てもスグに埋まると思います。
ただ、気になるのが利回りが4.8%と低い点です。
立地が良くて築浅の物件のために利回りが低いのは仕方ないのですが、この利回りではキャッシュフローが出るかどうか心配ですね。
そこで、業者が作成した収支計画表を見てみます。
家賃収入 | 8.2万円 |
---|---|
管理費(マンション管理組合への支払い) | ▲0.7万円 |
修繕積立金 | ▲0.3万円 |
管理代行費(賃貸管理を委託する不動産会社への支払い) | ▲0.3万円 |
借入金の返済 | ▲6.4万円 |
月額キャッシュフロー | 0.5万円 |
年額キャッシュフロー | 6万円 |
ちなみに融資条件は物件価格2,060万円をフルローンで借りる前提となっています。
金融機関はイオン銀行で、融資期間35年、金利1.65%となっています。
諸費用(融資手数料や登録免許税等)の70万円だけ投資家が現金で支払います。
月額キャッシュフローは5,000円の黒字になっていますね。
年額だと6万円の黒字です。
この試算表だけみると、フルローンで購入できるのに毎月5,000円の現金収入が増えるように見えますよね。
ただし、実際はそんなに甘くありません。
業者の収支表に記載されていないコスト
業者が提示してきた収支表には、実際の賃貸経営でかかるコストが全然反映されていません。
具体的に抜けているコストは次の通りです。
- 空室期間の家賃損失
- 固定資産税
- 入居者募集コスト
- 退去時の原状回復費
- 設備交換にかかる費用
それぞれ具体的に見ていきましょう
空室期間の家賃損失
どんなに立地が良い物件でも、常時満室はありえません。
例えば東京23区の平均空室率は次の通りです。
六本木がある港区ですら空室率は13.9%もあります。
常時満室がありえないことがわかると思います。
ただ、この空室率は全物件の平均値です。
物件の中には築年数が古い物件も含まれていますので、築浅物件に限ればもう少し空室率は下がると思います。
僕の賃貸経営の経験からすると、東京23区の築浅・駅近の物件の空室率は8%で見ておくのが妥当だと考えます。
その根拠を説明します。
まず僕の8年間の賃貸経験からすると、単身用ワンルームの平均入居期間はだいたい3年間です。
そのため、3年に1回は退去があると考えて良いでしょう。
そして一回退去があると、次の入居者が入居するまで約3ヶ月は空室期間(=家賃収入ゼロ)となります。
こう言うと、
『JOJOさんはいつも退去から1ヶ月以内に入居者を見つけてるって言ってるじゃない!』
と反論されそうなので、なぜ空室期間が合計3ヶ月になるかを詳しく説明しますね。
まず退去があると、部屋の原状回復工事をする必要があります。
退去した翌日以降でリフォーム会社に物件に見に来てもらい、工事費用の見積書をもらいます。
見積書が出てくるまでに約1週間かかりますね。
次に価格交渉や不必要な工事内容を削除したりして、見積書の金額を調整します。
そのため発注する作業項目や金額が決定するのはだいたい退去の2週間後くらいですね。
それから工事発注となります。
発注してもすぐに工事に取りかかれるわけじゃありません。
発注してからリフォーム会社は職人さんを手配したり、部材を確保します。
そのため、原状回復工事が終わるまでに2週間くらいかかります。
つまり退去から原状回復工事が終わるまでで1ヶ月経過します。
その後、原状回復工事が終わったキレイな部屋は内見できるようになるので、本格的な客付け開始です。
もちろん退去があった翌日から入居者募集はかけるのですが、クリーニングが終わっていない状態の部屋を見せても決まらないことが多いですね。
そのため、実際は原状回復工事が完了してから実質的な入居者募集活動が開始されると考えて良いでしょう。
そして、東京23区に物件があるという前提ですが、募集期間は1ヶ月程度で入居者が決まります。
ここまでで退去から2ヶ月間経過しています。
ただ、入居者が決まってもすぐに入居とはなりません。
大抵の入居者は新しい入居先を決めてから、今住んでいる賃貸物件に退去連絡をします。
退去連絡をしてから1ヶ月間は家賃が発生しますので、入居希望者はできるだけ入居開始日を遅らせようとします。
だいたい1ヶ月後に設定することが多いですね。
そのため、入居者が決まっても、実際の入居日は1ヶ月後になることが多いです。
まとめると、次のスケジュールになります。
- 退去から原状回復工事完了まで:1ヶ月
- 原状回復工事完了から入居者が見つかるまで:1ヶ月
- 入居者が見つかってから、実際に入居がはじまるまで:1ヶ月
退去から入居が始まる(=家賃収入が発生する)まで3ヶ月かかることがご理解いただけたと思います。
そのため、一回退去があると、空室期間3ヶ月分は家賃収入がゼロになります。
固定資産税
不動産を所有すると必ず固定資産税が発生します。
この固定資産税をあえて説明しない不動産業者も多いですね。
収支計画書に書いてあったとしても、めちゃくちゃ小さな字で書いてあることがほとんどです(^-^;)
東京にある2,000万円程度の区分マンションの場合、固定資産税は年間で5万円ほどかかります。
もし不動産会社から事前に説明がなければ必ず確認しましょう。
入居者募集コスト
入居者を見つけるためには不動産仲介会社に依頼をする必要があります。
そして仲介会社に仲介手数料を支払う必要があります。
地方だと仲介手数料に加えて数カ月分の広告料を支払わないと入居付ができない場合もありますが、東京23区だと仲介手数料1ヶ月分だけ支払えばOKです。
一方で、大家は入居者から家賃1ヶ月分の礼金をもらうことが多いので、大家にとってはプラスマイナスゼロです。
ただし、相場よりも少し高い賃料で募集する場合には、都内でも礼金を取れないことがほとんどです。
そして、投資用区分マンションの営業マンが出してくる想定募集家賃はだいたい相場よりも高めのことが多いです。
そのため、想定家賃で入居者を決めるためには礼金・敷金ともにゼロにして初期費用を減らす必要があります。
賃貸ポータルサイトを見ればわかりますが、都内でも礼金・敷金ゼロゼロの条件で募集している部屋はたくさんあります。
もし礼金をゼロにする場合は、当然ながら大家さんは礼金収入を受け取れません。
そのため、不動産仲介会社に支払う仲介手数料1ヶ月分は大家さんが負担する必要があります。
たいていの不動産会社の収支表では募集費用は含まれていないので注意が必要です。
退去時の原状回復費
退去するとリフォームのために原状回復費が必要になります。
『敷金の中で原状回復費用はまかなわれるから、大家さんの負担は無いんじゃないの?』
こう思うかもしれませんが、実際は敷金を利用できるのは一部です。
クリーニング費用くらいは入居者に負担してもらえますが、クロスの張替えやフローリングの補修については経年劣化として判断されるので大家が負担しないといけません。
その他にもユニットバスのコーキングを交換したり、ドアの建て付けを修正したりと様々な工事が必要になることが多いです。
これらはもちろん大家さん負担となります。
そのため、20㎡くらいのワンルームであっても、原状回復費用に最低10万円くらいはかかると覚悟しましょう。
僕が実際にかかった原状回復費用の内訳を公開してますので、合わせて読んでみてください。
設備交換にかかる費用
更にエアコン、給湯器、換気扇といった電気製品はいつか必ず壊れます。
壊れた場合にかかる修理や交換費用は大家負担です。
各機器ごとの耐用年数と交換コストの目安は次の通りです。
機器 | 耐用年数 | 交換時のコスト |
エアコン | 10年 | 10万円 |
給湯器 | 15年 | 15万円 |
換気扇 | 10年 | 3万円 |
例に上げた物件は築11年ですので、そろそろエアコン、給湯器、換気扇が壊れる時期ですね。
入居中に壊れると入居者に迷惑をかけてしまうので、僕だったら退去のタイミングで全て予防交換してしまいます。
合計約30万円の出費となります。
結構痛いですよね。
実際のコストを加味した場合の収支計画
それでは、上記のコストを加味して収支計画を見直してみましょう。
3年間に一度退去がある前提なので、3年分の収支計画を作ってみますね。
3年分のキャッシュフロー(退去時のコスト計上前) | 18万円 |
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空室期間の家賃損失 | ▲24.6万円 |
固定資産税 | ▲15万円(年間5万円) |
入居者募集コスト | ▲8.2万円 |
退去時の原状回復費 | ▲10万円 |
設備交換にかかる費用 | ▲30万円 |
実際の3年間のキャッシュフロー | ▲69.8万円 |
なんと、3年間のキャッシュフローはマイナス約70万円になりました!
不動産業者が作成した収支計画では毎年6万円のキャッシュフローが得られることになっています。
いかに不動産業者が作成した収支計画が甘いかをご理解頂けると思います。
不動産業者の言いなりになって、この物件をフルローンで購入した場合は、3年間で70万円の現金流出となります。
これじゃあ何のための投資かわかりませんよね。
まとめ
基本的に不動産会社が出してくる収支計画は非常に楽観的に作られています。
物件を売るために不動産会社が作る資料ですから、当たり前ですけどね(^-^;)
そのため、僕たち不動産投資家は業者が出してくる収支計画を鵜呑みにせずに、しっかりと自分自身で実際のコストを見積もる必要があります。
必要なコストを収支計画に全て盛り込み、その上でキャッシュフローがプラスになる物件があれば購入を検討します。
もしくはキャッシュフローがプラスになる水準までしっかり価格交渉しましょう!
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僕は今まで30行以上の金融機関で融資審査を申し込み、10行以上の金融機関から融資承諾を得てきました。その全ての経験と知識を記事に詰め込みました。
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